研究課題
基盤研究(C)
本阿弥光悦筆和歌巻の特徴を、(1)上の句と下の句を各々三角形に配した三角法構成の散らし書きで、上の句の行頭が高い原則、(2)下絵の目や花芯を避け、巻末に程よい余白を残すなど、『心底抄』『才葉抄』等の書論や古筆の故実を踏まえた揮毫、(3)定家仮名遣いでほぼ一貫、(4)二音節仮名の交用、と指摘し、光悦筆と伝称される和歌巻等の真贋鑑定で有効な基準となることを導いた。また、三角法構成の初例と言える「継色紙」が11世紀後期の書であろうことと、色紙名の定着を明治39年頃とみてよいことも指摘した。
日本書道史・古筆学