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2012 年度 実施状況報告書

工芸の展開ー美術鋳物の色沢と熱処理の関係

研究課題

研究課題/領域番号 23520155
研究機関東京芸術大学

研究代表者

赤沼 潔  東京芸術大学, 美術学部, 教授 (30267687)

研究分担者 橋本 明夫  東京芸術大学, 美術学部, 教授 (10237927)
キーワード美術工芸 / 鋳金 / 金属着色 / 素焼 / ミソ焼 / おはぐろ / 朱銅 / 熱処理
研究概要

平成24年度は、鋳銅品の再調査を実施し、また、基本プランの再作成、表面処理、熱処理の基に鋳銅品の着色を実施した。
具体的には、青銅(BC6)をベースとし、黒味銅を1%加えたもの、黒味銅を1%と銅10%を加えたもの、黒味銅を1%と銅20%を加えたもの、黒味銅を1%と銅30%を加えたもの、黒味銅を1%と銅40%を加えたものの各種サンプルを鋳造した。
その鋳造サンプルを基本とし、素焼における朱銅の発生実験を試みた。鋳銅品の加熱燃料として、基本的に短期間での発熱量の多い松炭と長時間高温を維持できる備長炭で実施した。結果としては、銅の含有量の多いものの方が朱銅の発生状況は良好であったが、銅20%の含有量のものでも朱銅が多く発生したものがあった。また、松炭による短時間の加熱(40分程度)においては、朱銅の形状が単純明快なものが多く、備長炭による長時間(1時間30分以上)の加熱の方は朱銅の形状が複雑になるものが多かった。
加熱温度は、最初、900℃前後まで昇温することを心掛けたが、鋳銅品が熱による変形を起こす場合が多いため、850℃に設定し直して実施し、良好な結果が得られた。
焼成後、研磨、煮色、おはぐろを実施し、サンプルを50個程度完成させた。特におはぐろ着色の実施により、朱銅の色彩が明快になることを確認できた。
今年度の熱処理による朱銅の発生については、銅の含有量、加熱温度、加熱時間、着色処理方法について実践的な方法について確認することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

美術工芸の分野における鋳金(鋳物)の着色効果について研究を継続しているが、その中でも熱処理を伴った鋳物独特の着色の下地処理の安定した行程の把握については、今回の研究の大きな目標である。
現在のところ、以前の研究で明快な発生が確認できなかった朱銅の発生については、銅の含有量、加熱温度、加熱時間、着色処理方法を基にこれの発生について実践的な方法による展開を確認することができた。これらについては、鋳銅作品の着色を計画的に安定して創作する上でとても重要なことであり、本研究の目的のひとつである。
今後の展開では、他の熱処理による下地づくりの確認と、それによる着色効果の確認を実施し、多種にわたる鋳銅品の着色技法の安定した行程を把握していく。
朱銅の発生確認が良好に得られたことから、今年度まではある程度目的が達成されたと判断する。

今後の研究の推進方策

今後は、鋳銅品の熱処理による下地づくりのまだ実施していない技法の展開と、その安定した行程の把握を展開する。具体的には、ミソ焼の硫黄の含有量、添加物の違い等による下地の変化の確認等になる。
また、以前研究を展開した鋳銅品の着色法で明快な反応が確認できなかった事柄についても再度着色法の展開を試み、曖昧な部分の消化をしていく。具体的には、緑青による着色、アンモニアガスによる着色等である。
最終年度にあたるため、着色技法を熱処理を中心として、各種着色実験のデータを基に項目を立てて、確認や獲得できた行程について作家の制作の立場から具体的に内容をまとめていく。

次年度の研究費の使用計画

主に下記の内容で研究費を使用する計画である。
鋳銅サンプルの鋳造費
鋳銅品の仕上げ加工用具の購入 鋳銅品の仕上げ加工謝金
完成サンプルの撮影関連費 着色技法の確認のための旅費
その他まとめた資料等の印刷費
その他

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 点金の斑紋表出法と美術工芸の関係2012

    • 著者名/発表者名
      赤沼潔
    • 雑誌名

      アジア鋳造技術史学会

      巻: VOL4 ページ: 29ページ  34ページ

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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