本研究の成果として、「労働力均質化時代における性と文化」を題目に、年度ごとに立てた研究内容「支配文明の基本構造」、「性の解放と資本主義の精神」、「性の思想化と脱肉体化」に従い、年に2篇ずつ計6篇の論文を計画通り発表した。研究を進めるなかから、労働力を均質化する資本主義の20世紀的な徴候が脱肉体化した人間関係を生みだした事実が判明した。脱肉体化した社会を「不在の美学」という観点から芸術的創造に結びつけたレベッカ・ホルンと、脱肉体化したメディア社会を思想的に分析したヴィレム・フルッサーが必然的に次の考察対象として浮かび上がり、それが科研費「脱肉体化時代の美学的考察」の獲得へと結びついた。
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