研究課題/領域番号 |
23520169
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福岡 まどか 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (40379318)
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キーワード | ワヤン wayang / コミック comic / インドネシア Indonesia / マハーバーラタ Mahabharata |
研究概要 |
平成24年度は、引き続き文献研究と現地調査を行った。また、収集したコサシ氏のコミックの資料のうち、特にマハーバーラタの中心部分を成す大戦争に関する記述の分析を行った。その分析結果と前年度の上演調査の結果をもとにして、論文「インドネシアにおける伝統芸術と大衆文化の相互関係--西ジャワの人形劇とコミックのマハーバーラタ」(『大阪大学大学院人間科学研究科紀要』第39巻 2013年3月発行125-151頁所収)を執筆した。現地調査では引き続きマハーバーラタの上演の調査を行った。西ジャワ州カラワン県を拠点として上演活動を行う人形遣いアペップ・フダヤ氏に上演を依頼し、マハーバーラタの大戦争の一部分を描いた演目"Gatot Kaca Gugur"の上演を記録した。また比較検討のため、もうひとつの古代インドの叙事詩であるラーマーヤナの中の演目"Hanoman Duta"の記録も行った。さらに今回の上演は、現地の中学生・高校生・大学生のワークショップも兼ねており、研究代表者はここでコサシ氏のコミックと西ジャワの人形劇に関する学生向けの講演も行った。上演のオーガナイズなどを依頼したティカール・ブダヤとの共催で、こうしたワークショップや講演を行うことができたことは現地における上演芸術の保存や発展を促進する活動にも貢献できたという点で意義深いものであったと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的とした作者のコサシ氏とのインタビュー調査は、平成23年度に行うことができた。また24年度は、引き続き資料収集や資料分析などを行うことによってコサシ氏の作品についてより詳細な分析を行うことができた。 上演の調査の方は、マハーバーラタの演目の中で大戦争を描いた人形劇の上演を平成23年度、24年度の2回にわたって記録することができ、この上演の調査と記録はこの研究の中での貴重な成果であると考えられる。また平成24年度には比較検討のための資料としてラーマーヤナの上演の記録も行うことができた。これも今後のコミックの研究においては貴重な成果となることが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、引き続きコミックの作品分析を行うとともに、上演の記録の成果の分析にも力を注ぐ。マハーバーラタに関する文献資料の検討を行い、これらの資料の検討結果とコミックの物語の特徴、さらには人形劇の上演の中の物語の特徴などを 比較検討して考察を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は、映像資料分析や編集のために活用する予定である。
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