この研究は、インドネシアにおいて1950年代以降に創作が始まり1960-80年代にかけて人気を呼んだコミックに焦点を当てている。伝統演劇であるワヤンの物語や表現方法と密接な関連を持つこのコミックはワヤン・コミックと呼ばれている。ワヤン・コミックの先駆者でもっとも影響力を持った作家であるR.A.コサシ(1919-2012)の作品を取り上げて、物語や表現方法の分析、実際のワヤン(影絵や人形劇)上演との関連についての考察を行った。文献調査に加えて2回の現地調査を行い、芸能上演の観察と記録、インタビュー調査などを通して伝統芸能とコミック相互の関連についての検討と分析を行った。
|