研究課題/領域番号 |
23520175
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研究機関 | 情報科学芸術大学院大学 |
研究代表者 |
三輪 眞弘 情報科学芸術大学院大学, その他の研究科, 教授 (20336647)
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研究分担者 |
佐近田 展康 名古屋学芸大学, メディア造形学部, 教授 (20410897)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 人工音声制御 / フォルマント合成 / 電子音楽 / 音素変換標準規格 |
研究概要 |
2011年度は、初めて入手したMIDIアコーディオンによる人工音声制御(歌唱及び発話)の実現に向けて、以下の研究を行った:・MIDIアコーディオンが実際に出力するMIDI情報の解析、・左手ボタン配列と音素との対応実験(ボタンの識別や演奏時における操作性、習得可能性など)、・蛇腹(ベロー)操作による空気圧変化に伴う声色(こわいろ)変化のアルゴリズム開発、・左手ボタンのみによって濁点、半濁点、二重母音などを含むすべての日本語発音に対応した「兄弟式ボタン/音素変換標準規格」の制定これらによって、研究協力者(ピアニスト)岡野勇仁氏の演奏により「抑揚」と呼ばれる発話の「旋律」を右手の鍵盤で、50音と言われる日本語の「音素」をアコーディオンの左手のボタンを使って「演奏」し、リアルタイムに人工音声で歌い、また詩を朗読する人類初の試みを行った。結果として、蛇腹(ベロー)をはじめとしたアコーディオンならではの楽器特性を十分に活かした、これまでのピアノ式鍵盤では決して得られなかった新たな人工音声の表現力を獲得できた。発表は、・2011年12月25日 SARAVAH 東京で行われた日本電子音楽協会主催の「たいせつな人と聴く電子音響音楽」における「きよしこのよる」歌唱、・2012年3月3日 神奈川県立近代美術館葉山館で行われたイベント「新・劇場の三科 1925 → 2012」で「ぽっくりきのくつ」(村山筹子の詩)の朗読(抑揚の作曲)。の2回、「フォルマント兄弟」の作品として発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度前半に研究用MIDIアコーディオンは入手したものの、そのモデル別の製品仕様のために出力MIDI情報の解析ならびに左手ボタンの同定には予想以上の困難があった。しかし、1ボタンならびに複数ボタンのコンビネーションによりすべての日本語音素を論理的に指定するアイデアによって問題を克服し、当初の目標プロトタイプを完成させることができた。一方で、予定していたプロのアコーディオン演奏家の研究協力が急遽得られなくなり、代わりの協力者を見つけるのに多くの時間がかかったが、年度後半に岡野勇仁氏の協力を得て研究の遅れを取り戻すことができた。またその成果を東京都および神奈川県で開催された2回の発表において公開することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度はピアニストの岡野氏に加え、プロのアコーディオン奏者(現在交渉中)にも協力を依頼し、前年度に制定した「兄弟式ボタン/音素変換標準規格」の有効性を検証していく。また、両氏の演奏を前提としたMIDIアコーディオンのための作品を作曲、発表し、実証実験を重ねる予定。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費 350,000円物品購入費 180,000円謝金 670,000円その他 100,000円合計 1,300,000円
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