研究課題/領域番号 |
23520176
|
研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
龍村 あや子 京都市立芸術大学, 音楽学部, 教授 (40207064)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 音楽学 / 民族音楽学 / 音楽社会学 / ウイグル / 中国・新疆 / 中央・西アジア / イラン・トルコ / 国際研究者交流 |
研究概要 |
平成23年度は交付金の支給が遅れ、金額もなかなか定まらなかったことと、西アジア・中央アジア地域の社会情勢が不安定であったことにより、予定していた新疆ウイグル地域への、研究協力者を含むフィールドワークは平成24年度に延期した。以下の項目が平成23年度の主な研究活動であった。(1)研究代表者(龍村)は、6月に西洋中世学会で、「音楽におけるヨーロッパとイスラーム」について発表を行い、その後のシンポジウムにパネリストとして参加した。(2)研究代表者は8月にソウルで行われた国際音楽学会(IMS)の東アジア地域国際会議に出席、少数民族のアイデンティティと音楽・舞踊との関係について、日本のアイヌを中心に研究発表を行った。ウイグルについて発表するのは中国関係者に配慮してこの場では控えたが、少数民族の多くに共通してみられる問題として論じた。(3)研究代表者はロンドンの大英博物館、パリのルーブル博物館、ベルリンのペルガモン博物館にて、西アジア、中央アジアおよびイスラーム関係の研究資料を収集した。書籍の購入はすべて私費で行った。(4)研究代表者は11月に行われた比較文明学会の大会で、「アドルノ哲学に見る<自然>と自然支配の弁証法の問題提起とその今日的意義」という題名での研究発表を行った。(5)研究代表者は海老澤敏先生傘寿記念論文集に、「《魔笛》のザラストロはどこから来たか」という論文を執筆した(すでに出版)。代表者の以前よりのゾロアスター・西アジア研究と、西洋音楽史・文明史研究の合体した成果の一つである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度は交付金の遅れのためと、西アジア、中央アジア、新疆ウイグル自治区の社会情勢があまり良くなかったために、予定していたフィールドワークを延期せざるをえなかった。従って新疆ウイグル自治区への、研究協力者を含む調査は、平成24年度に繰り越した。これに伴い、23年度分に予定していた金額の多くを24年度に繰り越した。平成24年度には、研究代表者の龍村以外に、研究協力者の小柴はるみ、谷正人、屋山久美子の3人も参加して、新疆ウイグル自治区へのフィールドワークを行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は平成24年度および25年度に、ウイグルおよび中央・西アジア関連地域のフィールドワークを行い、一定の成果を上げることを目指す。またウイグル人研究協力者のウメル・ママット氏を含む研究代表者、研究協力者全員で、日本で研究会議を行いたい。平成25年度には研究成果の論文執筆、および研究成果発表のためのウイグル人、トルコ人、アラブ人音楽家の日本招聘を実現したい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
(1)平成24年度は、9月の中旬に、研究代表者(龍村)と研究協力者(小柴、谷、屋山)の全員で、10日から2週間程度の予定で、新疆ウイグル自治区における音楽・舞踊の現地調査を行う。ウイグル人音楽学者・作曲家で研究代表者のもとで博士号を取得したウメル・ママット氏が研究協力者として現地で調査に加わる予定である。今回の調査では、ウイグルのできるだけ多くの地域における「ムカーム」の音楽と舞踊の実態を調査し、特にムカディマと呼ばれる「詩を歌う」部分の音楽と歌詞の内容にも重点を置く。(2)研究代表者は7月初旬にローマで行われる5年に1度の国際音楽学会(IMS)大会にて、少数民族のアイデンティティと音楽舞踊の問題を、ウイグルのケースを主たる対象として発表する予定である。
|