この研究は、西はアラブ諸国、トルコ、イランから、東は新疆ウイグル自治区に至る、いわゆる「マカーム・ダストガー文化圏」と捉えられる一つの音楽文化圏の音楽の比較研究の試みであった。研究代表者は龍村であったが、実質的には、小柴はるみ(トルコ音楽研究、東海大学名誉教授)、屋山久美子(ユダヤ音楽・アラブ音楽研究、ヘブライ大学日本語講師)、谷正人(イラン音楽研究、神戸大学准教授)の3人の日本人研究者と、ウイグル民族の音楽家・研究者であるウメル・マーマット(新疆芸術学院音楽学部教授)が研究協力者として参加していた。研究年度中には、全員での新疆ウイグル自治区における実地調査をはじめ、毎年にわたり研究会を実施した。最終年度には東京藝大に留学中のキルギスタンの音楽・舞踊の研究家を京都市立芸術大学に招き、演奏と舞踊の公開研究発表を行った。研究代表者は平成25年度の最後に中国本土との比較を目的に台湾への短期間の調査を行い、今後の研究への糸口を得た。本研究課題の研究内容は論文集としてとりあえず冊子体の論文集にまとめる予定である。またそれをさらに敷衍したものにより、何らかの助成を得て出版したいと考えている。
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