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2012 年度 実施状況報告書

『管絃音義』の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520178
研究機関沖縄県立芸術大学

研究代表者

高瀬 澄子  沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (60304565)

キーワード音楽学 / 日本音楽史
研究概要

2012年度は、『管絃音義』の「七音義釈」を中心として本文の解釈を行った。「七音義釈」を中心としたのは、『管絃音義』の中核となる重要な部分であるとともに、昨年度に主な研究対象とした『管絃音義』に含まれる図と関係が深いからである。『管絃音義』の図がどのような理論と思想に基づいて描かれたかを明らかにすることは、昨年度の研究で残された課題であった。研究成果は、第10回日中音楽比較研究国際学術会議(2013年3月、東京芸術大学)において口頭発表した。その概要は次の通りである。
「七音義釈」とは七つの音の解釈を意味し、上無調・下無調・双調・黄鐘調・壹越調・平調・盤渉調について、他書を引用しながらその名称の思想的意義を述べたものである。そのほか、特殊な名称として輔音一越調がある。「七音義釈」の思想的背景として指摘しうるのは、天台宗系の仏教思想と五行思想である。「七音義釈」に天台宗系の仏典が引用され、『管絃音義』そのものに天台教学の影響が強いことは、先行研究によってすでに指摘されている。一方、「七音義釈」は『管絃音義』に含まれる四つの図のうち最後の図、「相生輪転図」と密接な関係にある。「相生輪転図」が五行思想を意識していることは明らかである。『管絃音義』の「七音義釈」は、仏教思想と五行思想を折衷させて、音と音以外の諸要素との結びつきを論じていると見られる。
全体に、2012年度の研究はあまり進展が見られず、十分な成果が得られたとは言い難い。来年度は、伝本の調査及び声明の理論書との関連について研究を進めたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2012年度は、(1)伝本の収集、(2)本文の校合、(3)現代語訳の作成を行う予定であった。しかし、(1)(2)は全く進んでおらず、(3)は未だ完成していない。
(1)(2)が進んでいない理由は、(3)が完成していないからである。本研究は、(1)伝本の収集、(2)本文の校合、(3)現代語訳の作成、(4)構造の分析、(5)背景の考察、という手順で行われる予定であった。この手順は必ずしも時間軸に沿ったものではないが、研究が進行するにつれ、(3)を完成させるには自ずと(4)(5)に踏み込む必要があることが明らかとなった。結果として、2012年度は、(4)(5)の一部を達成したと考えている。

今後の研究の推進方策

2013年度は、(1)伝本の収集、(4)構造の分析、(5)背景の考察を行う。達成状況の遅れに鑑み、緻密な作業と時間が必要とされる(2)本文の校合、(3)現代語訳の作成は後回しとする。その代わり、従来の研究で参照されてこなかった各種の伝本を使用すること、図に関わる分析と考察に焦点を絞ることを主眼としたい。図に焦点を絞る理由は、第一に、図の解明は『管絃音義』の理解にとって重要であり、本研究の特色の一つでもあるため、第二に、当初は予想していなかった別史料により、声明の理論書との関連が証明される可能性があるためである。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額が生じた理由は、昨年度と同様、伝本の収集を行っていないからである。2013年度の研究費は、可能な限り伝本を収集するために使用したい。1.郵送により複写申し込みが可能な機関、2.比較的手続きに問題が少ないと考えられる国立の機関、3.私立と地方の諸機関、という順序で収集する予定である。なお、関連が見込まれる声明の理論書についても収集したいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 『管絃音義』の「七音義釈」について2013

    • 著者名/発表者名
      高瀬澄子
    • 学会等名
      第10回日中音楽比較研究国際学術会議
    • 発表場所
      東京芸術大学
    • 年月日
      2013-03-27

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公開日: 2014-07-24  

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