研究課題/領域番号 |
23520180
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
松村 茂樹 大妻女子大学, 文学部, 教授 (70229532)
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キーワード | 国際研究者交流 |
研究概要 |
本研究は、中国清末民初、詩・書・画・印四絶を誇り、「中国最後の文人」と称された呉昌碩と、当時の日本人士との交流を検証することにより、近代日中芸術文化交流の重要な一断面を明らかにするため、以下の二つを目的とする。 第一に、呉昌碩は、多くの日本人士と交流している。呉昌碩とこれら日本人士の交流の実態を明らかにすることにより、これまで看過されがちであった近代日中芸術文化交流の極めて重要な側面に光を当て得るであろう。第二に、呉昌碩と交流した日本人士の胸中を明らかにすることである。呉昌碩は、近代にあっても、前近代的文人のスタイルを墨守して生きた。当時の日本人士の中には、そういった前近代的文人への憧憬が確実にあった。このような視点により、従来とは別の側面からの分析を行い得るであろう。 本年度は、資料収集において特に成果があった。京都国立博物館では、呉孟晋研究員のご助力により、呉昌碩および呉昌碩と交流のあった長尾雨山関係の資料を拝見できた。また、教護の鉄斎美術館では、柏木知子学芸員のご助力により、呉昌碩と親交のあった富岡鉄斎関係資料を拝見できた。また、古書店で当時の資料を多く購入することもできた。その成果を、「日本における呉昌碩の受容―大正・昭和編(五)」( 2013・3・31『中国近現代文化研究』14号)、「呉昌碩が日本にもたらしたもの―河井セン(くさかんむりに全)廬・長尾雨山を介しての伝播」『アジア遊学』(入稿済)にまとめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集、研究調査および論文執筆は、予定通り進んでいる。計画書執筆段階では、本年度実施予定であったシンポジウムは、下記の通り、平成25年度に行うことが決定している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年8月17日、大妻女子大学で行われる第二回中国近現代文化研究会大会に併催する形で、筑波大学の菅野智明准教授の科研費と合同で、国際シンポジウム「近代書学の越境」を開催することが決定している。本科研費では、この分野の第一人者である米国ボストン大学の白謙慎教授を、菅野准教授科研費で香港中文大学の張恵儀講師をお招きし、基調講演をいただくことになっている。 平成25年度は、本科研費最終年度にあたり、上記シンポジウムを踏まえ、研究成果をまとめたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記国際シンポジウムのために多くを支出することになる。その他、資料収集にも使用したい。
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