本研究はレオナルド・ダ・ヴィンチの草稿を中心とし、彼が北ドイツ、特にゲーテ時代のドイツにおける芸術理論に及ぼした影響をテーマとした。当初は1810年のゲーテの色彩論の中に、レオナルドの光の理解が受容されかつ変形されているという考えだったが、研究を進める中でレオナルドの草稿に自ら目を通して研究したヴァザーリの重要性が私の目にはっきり見えて来た。以来、ヴァザーリの伝記に散見する色彩理論的発言と並び、これまで一般に蔑ろにされて、2006年にようやくドイツ語に翻訳された「建築、彫刻、および絵画論序論」に焦点を当てた。ヴァザーリは、レオナルドの文献に時折見られる一つの概念を取り上げた最初の著作家である。
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