研究課題/領域番号 |
23520191
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研究機関 | 武蔵野音楽大学 |
研究代表者 |
薦田 治子 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 教授 (00323858)
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キーワード | 近代日本音楽 / 琵琶 / 薩摩琵琶 / 筑前琵琶 / 琵琶新聞 / 錦琵琶 |
研究概要 |
1.『琵琶新聞』および『水声』のデータベース作成 本調査の主要な研究対象である、月刊誌『琵琶新聞』(1909-1944)と『水声』(1925-1930)は、実物とマイクロフィルムで所蔵されており、当該年度初めまでに、マイクロフィルムからすべての紙焼きを作成した。OCRソフトを使用してスキャンを試みたが、旧字体で記されていることと、撮影されたマイクロフィルムの画質が低いこと、原資料の傷みがあることなどが原因で、うまく使用できないことが判明した。したがって、もっぱら手作業で入力を進めている。 2.琵琶関連資料の探索――琵琶奏者、関係者への聞き取り調査と個人蔵の資料の探索 ①琵琶関連雑誌「芸の友」の資料撮影を行った。1950年創刊の雑誌だが、戦前の琵琶会に関する情報も豊富で、貴重な資料であることが判明した。あわせて、戦後の琵琶界にとって重要ないくつかの演奏会のプログラムの資料撮影も行った。しかし、一方で、戦前の琵琶会のチラシや雑誌類については、演奏家やその御子孫の手元には予想したほどには資料が残ってないことが明らかになってきている。 ②地方の図書館などの所蔵資料については、今年度は大きな成果は得られなかった。 ③昭和30年代後半の琵琶演奏録音「辻靖剛録音」(琵琶楽協会演奏会、正弦会演奏会ほか)を発見した。戦後の資料ではあるが、ここに録音されている演奏者たちは、本調査研究の対象とする戦前期から活動していた人たちが多い。演奏される曲は、戦前と戦後で大きく変化したことが予想されるが、そうした様相を明らかにするうえでも貴重な録音である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『琵琶新聞』および『水声』のでデータベース入力作業は、やや遅れ気味ではあるが、鋭意進行中である。『水声』の入力作業も開始している。琵琶関係の方々も協力的で、上述の『芸の友』の資料撮影、『辻靖剛録音』の調査ができたことは大きな収穫であった。
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今後の研究の推進方策 |
1.『琵琶新聞』および「水声」のデータベース作成 引き続き入力作業を行い、近代琵琶楽の作曲者、作詞者、演奏者、演奏曲、演奏の場、関心を集めたトピックの変遷などの情報が入手しやすいようなデータベースを完成する。 2.当該年度までに収集した個人蔵や地方図書館の琵琶関連雑誌、録音資料のまとめを作成する。 3.琵琶関係者へのインタビューのまとめを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.データベースの最終的な仕上げのためのデータ入力費用(謝金) 2.報告書作成のための費用(その他) 3.補足調査のための費用(旅費と謝金)
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