インド映画黎明期に支配的なジャンルであった神話映画がなぜ衰退したのか、一方で特定の地方では今でもその伝統が続いているのはなぜかを調査することが本研究の目的であった。独立以降の社会制度の激変がその一因であるとは容易に予想できるし、本研究でもこれを覆すような反証は見つかっていない。だが世俗化だけで全てを説明できないのである。50~60年代のテルグ語映画のように神話映画が政界編成のためのプロパガンダに利用された結果新たな宗教的関心を生み出した例がある。宗教性の変質そのものが映画によって促されているのである。映画・宗教・政治は相互影響下にあり、それ故今後の観察が必要であるというのが本研究の結論である。
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