帝国日本は台湾・朝鮮・南洋群島・満洲ならびに中国に植民地統治を拡大し、インドまで視野に入れた大東亜共栄圏まで構想した。その際に各地に伝わる昔話を採集し、その資料を発行した。それによって、各地の民情を把握するとともに、日本とよく似た昔話があれば、それが日本の統治の根拠にされた。そのため、柳田国男や関敬吾が進めた戦後の昔話研究では、学術的価値がないとして切り捨てられた。しかし、その当時に立ち戻って研究をたどることは、国際化に向かう昔話研究のためにも急務であり、日本にはその責任があると考えた。研究を進める中で、各地で作られた教科書との関係も明らかになった。
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