研究課題/領域番号 |
23520212
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
林 勉 東京学芸大学, その他部局等, 名誉教授 (50014858)
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キーワード | 萬葉集古写本 / 萬葉集校本 / 萬葉集の古点・次点・新点 / 青筆の変化・赭筆の識別 / 断簡と手鑑 / 歌論書 / 注釈書 |
研究概要 |
1.新校本の底本となる西本願寺本は、原本複製に翻刻した文字を再確認し修正も続けている。 2.西本願寺本系統で田中本に次ぎ同系の他の一本阿野本の調査を確認し、三本の比較の上に立って新校本の底本を堅めることとした。 3.新点本のなかの京都大学所蔵曼朱院本には判別困難な赭筆書入があり、新点本第一次の寛元本や次点本等の書入であり、萬葉集校勘上問題があるので調査をし、『校本萬葉集』には省略されている別筆青筆書入も指摘して研究会発表をした。 4.萬葉集古写本中桂本・藍紙本に続き古い平安中後期写元暦校本の朱、特に赭筆は識別困難なので、原本調査の前に複製本やインターネットにより調査を重ねている。 5.その他の調査により、『校本萬葉集』の記載との異同を検討し、誤脱等について記録を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.萬葉集は四千五百余首の大部の他に漢文もあり、歌も長歌も多く、漢字と傍訓の仮名と二重になっていて作品量が大であり、漢字の文字・音韻の知識が必要である。 2.元暦校本の調査を昨夏計画したが東京国立博物館の展示が続いたので実施できなかった。 3.阿野本や古葉略類聚鈔など原本の閲覧調査が困難な場合がある。
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今後の研究の推進方策 |
1.次点本の中でも歌数多く、しかも料紙が焼けていて朱、特に赭の書入れの判別がきわめて困難な元暦校本の調査は複製本やインターネットにより事前調査も十分に実施し、またぜひ原本を閲覧調査せねばならない。 2.校本の底本の準備ができたので、各巻の校異の書入れの作業が次に来る大きな仕事である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1歌数もかなり多く、書入れの識別も困難な元暦校本の調査は複製本やインターネットにより事前調査も十分に実施し、またぜひ原本を閲覧調査せねばならず、研究協力者も多いので、調査のための費用もかなり必要になる。 2.各巻の校異の書入れの作業の用意が必要である。 1.元暦校本の調査と共に次点本で歌数多い類聚古集はじめ類纂本として古今和歌六帖その他歌論書の主資料を調査するための出張費や人件費が見込まれる。2.校異作成の実務に対して膨大な時間と労力に対するかなりの出費が必要となる。3.調査した結果の諸資料を研究協力者その他の配布にもかなりの出費が必要となる。
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