研究課題/領域番号 |
23520214
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
錦 仁 新潟大学, 人文社会・教育科学系, フェロー (00125733)
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研究分担者 |
志立 正知 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (70248722)
渡邉 麻里子 弘前大学, 人文学部, 教授 (30431430)
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キーワード | 地誌 / 和歌 / 名所・歌枕 / 藩主・藩士 / 領内名所和歌集 / 領内名所漢詩集 / 和歌思想 / 儒者 |
研究概要 |
本年度は東日本大震災の影響も沈静して宮城県・福島県の図書館・博物館等の調査がスムーズにできた。宿泊施設(ホテル)の予約に困ることもなかった。とりわけ福島県および白河藩の江戸時代に編纂された地誌(白河風土記・白河古事考その他)に、和歌・名所・歌枕に関する記事が豊富に掲載されていることを発見した。しかも本研究にとって重要な記事が豊富にあり、膨大なそれらの記事を分析・考察し、それを加えて本研究の総括・総仕上げがを達成できた。 具体的には、本年度は、各地の図書館等で調査・収集した資料を分析・検証し、特に白河藩主・松平定信と秋田藩主・佐竹義和および全国諸藩の藩主たちが親密に文雅の交遊をし、互いに同じ文雅の試みをしていることを解明した。 一例をあげると、定信も義和も自藩の領内に新しく名所をいくつも設定し、それらに和歌を詠むのにふさわしい名称と漢詩を詠むのにふさわしい名称の、二種類をつけて、みずから和歌・漢詩を詠み、かつ藩内の文人藩士に詠ませ、全国の文人藩主や儒者にも詠ませ「領内名所和歌集」「領内名所和歌漢詩集」を編纂していることが明らかになった。 すなわち、和歌にも漢詩にも詠める名所づくりをし、そういう名所のある国をつくることを定信を中心とする文人藩主たちが試みていることがわかった。 それは、万葉集・古今集を母体とする和歌思想をもとづくもので、を平安時代から江戸時代へと継承されてきた歌論および和歌思想を丹念に検証することによって、詳しく明することができた。 本研究の成果は、JR東海主催の「歴史の歩き方」(2014年3月7日、有楽町「よみうりホール」)において1100人の聴衆を前に語る機会を得た。また、報告集『地誌と和歌・名所・歌枕』(副題)を刊行し、全国の研究期間と研究者に配送し、意外なほど好評を得た。かくして本研究の当初の課題を完遂でき満足した。
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