研究課題/領域番号 |
23520216
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
小埜 裕二 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (00204256)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 小川未明 |
研究概要 |
郷土の小説家・童話作家の小川未明は、平成23年に没後50年、24年に生誕130年を迎えた。明治・大正・昭和と息の長い活動をした未明の存在の大きさとその文学的価値は、いまだ理解されていない。先般、科学研究費補助金を得て、童話作家未明の側面を明らかにした。だが数多い小説や評論類をふまえないかぎり、未明文学を真に理解することはできないし、彼の童話さえ十分理解できない。ところが未明の小説・評論等は童話以上に全集の不備が多く、初出誌の判明しないものが多い。そこで、A.小説全集(小品・評論・随筆を含む)未収録作品の収集、B.小説等出典不明作品の調査、C.全集未収録作品をふくめた未明小説の再検討、D.小説と童話のかかわりの検討、E.研究成果の公開、を研究目的とした。本年度は、上記のA.B.を中心に研究を行った。 A.については、小説全集(小品・評論・随筆を含む)未収録作品の収集を約300編行った。この300編の多くは、小説集から比較的容易に収集できるものではなく、初出誌・紙からしか収集できないものである。 B.については、小説等出典不明作品の情報を約250編について明らかにした。調査の過程で、小説以外の小品、評論、随筆等は当初考えていた以上の数にのぼることが判明した。この250編の多くは、今回、はじめてその存在があきらかになった作品の初出誌に関する情報が多い。 C.については、全集未収録作品をふくめた未明小説の再検討を行うために、平成23年12月から、上越市民とともに「小川未明小説研究会」を立上げた。月1回の研究会を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
A.小説全集(小品・評論・随筆を含む)未収録作品の収集、B.小説等出典不明作品の調査、C.全集未収録作品をふくめた未明小説の再検討、D.小説と童話のかかわりの検討、E.研究成果の公開、の5つの研究目的のうち、本年度は、A.B.を中心に研究を進めた。 A.については、小説全集(小品・評論・随筆を含む)未収録作品の収集を約300編行った。この300編の多くは、小説集から比較的容易に収集できるものではなく、初出誌・紙からしか収集できないものである。他に初出誌・紙から収集する必要のある作品は、約200編あるが、収集の目途はたっている。 B.については、小説等出典不明作品の初出誌情報を約250編明らかにした。国立国会図書館で調査できる分については、今回の調査でほぼ終えた。これまで初出誌不明とされてきた作品の7割程度については、初出誌を明らかにできたことになる。 C.については、「小川未明小説研究会」を中心に、小川未明の小説の特徴について、初期の作品から順に読み、討議を行うことで、確かな成果が上がってきている。
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今後の研究の推進方策 |
A.小説全集(小品・評論・随筆を含む)未収録作品の収集、B.小説等出典不明作品の調査、C.全集未収録作品をふくめた未明小説の再検討、D.小説と童話のかかわりの検討、E.研究成果の公開、の5つの研究目的のうち、今後は、A.Bの調査を引き続き行うとともに、C.D.E.に重心を移していく。 A.については、引き続き行う。図書館からの文献複写依頼は、一度に沢山できないため、計画的に行っていきたい。B.についても、引き続き行う。国立国会図書館で調査できる分については、ある程度、調査を終えたので、今後は調査方法や調査場所を変えて初出誌に関する情報を得ていきたい。C.については、「小川未明小説研究会」を中心に、研究を推進していく。今後は講師を招き、研究を深めていく。D. については、前回科研費の研究成果をふまえ、童話のなかの小説的要素、および小説のなかの童話的要素について、考察を進める。E. については、研究成果の公開をふまえて、全集未収録作品の文字化を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究費の使用計画に準じて行う。
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