• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

詩歌のジャポニスム ──西欧における展開と日本モダニズムへの接合に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520220
研究機関名古屋大学

研究代表者

坪井 秀人  名古屋大学, 文学研究科, 教授 (90197757)

キーワード国際研究者交流 / チェコ / オーストリア
研究概要

詩歌における西欧におけるジャポニスム運動という本研究の研究課題のうち、当該年度においては中部ヨーロッパ、特にチェコにおける日本の短詩型詩歌の翻訳状況に関する調査を重点的に行った。なぜチェコという領域に着目したかだが、それは本研究の課題の一つである、翻訳された日本詩歌のテクストに作曲された歌曲作品とモダニズムの関係の解明について考える中で、その歌曲化の最も早い先蹤となるのが、チェコの作曲家、ボフスラフ・マルティヌーの作品Nipponariであるからで、なぜドイツ語圏ではなくチェコ語に翻訳されたテクストに作曲されたかという点を調査する必要があったからである。
マルティヌーがもとにしていた詩歌集Nipponariの原本をプラハにあるチェコ国立図書館で調査し、あわせて同集の訳者であるEmanuel Lesehraduの翻訳の仕事についても調査を行った。その結果、彼がこれ以外にもフランス、イギリス、アメリカ、ドイツ、スカンジナビア地域及び中国で創作された詩歌について夥しい翻訳を行っていることが判明した。またLesehraduに関する同時代のモノグラフや書誌資料を古書店で入手することが出来た。
あわせて20世紀前半期(世界大戦以前)においてチェコ語に翻訳された日本詩歌の翻訳書についても調査を行い、これらを通じて、チェコにおいて(ドイツ語その他からの重訳が中心と思われるとはいえ)ジャポニスムが文学の領域においても浸透していたことがわかってきた。美術の分野での研究と合わせて考えることで、今後の研究を進展させることが可能であることにも気づかされた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ドイツ、オーストリアに続いて予定通りチェコでの調査を行い、カレル大学の研究者の協力も得たことによって、期待以上の調査の成果を得ることが出来た。ただし、チェコ語という研究代表者にとっては未修の言語のテクストを扱わなければならないため、その分析には時間がかかることと専門家による助言が必要になることが予想される。加えて、ドイツ語圏の翻訳との間に何らかの系譜的関係があることはわかってきたのだが、その具体的な解明はまだこれからである。

今後の研究の推進方策

最終年度においては、ドイツ語圏とは別途に発展したフランスにおける詩歌におけるジャポニスムの調査を行うとともに、これまで調査してきたドイツ語圏およびチェコにおける様々な翻訳とあわせて総合的な研究を行う。一方、歌曲化という動向についての研究がやや遅れているので、詩歌と音楽を結ぶ領域についてさらに調査を進めたい。

次年度の研究費の使用計画

ジャポニスム関係の文献の購入。フランスその他の地域への調査旅費が研究費支出の中心になるが、ジャポニスムの詩歌翻訳と作曲された歌曲のリストを整備するためのアプリケーション・ソフトや整理補助のための人件費も必要となるかもしれない。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 日記、プライベート/パブリックの境界にある「ゆらぎ」へ Diaries: Towards the "Bulurring" of the Border Between Public and Private2013

    • 著者名/発表者名
      坪井秀人・榑沼範久・岡村恵子
    • 雑誌名

      『恵比寿映像祭パブリック⇄ダイアリー』

      巻: 第5回 ページ: 12ー29

  • [雑誌論文] レヴュー 無償であることの幸福──「生誕120年記念 田中恭吉展」2013

    • 著者名/発表者名
      坪井秀人
    • 雑誌名

      JunCture(超域的日本文化研究)

      巻: 4号 ページ: 174-176

  • [学会発表] 戦争の記憶/記憶の戦争 ──アジア太平洋戦争と詩の問題2013

    • 著者名/発表者名
      坪井秀人
    • 学会等名
      東国大学校招聘講演会
    • 発表場所
      東国大学校(ソウル)
    • 年月日
      20130113-20130113
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi