研究課題/領域番号 |
23520228
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中根 隆行 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (80403799)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 外地引揚者 / 引揚文学 |
研究概要 |
本研究は、1945年から1950年代における朝鮮・旧満洲地域から帰還した外地引揚者による文芸的実践の軌跡を検証し、外地引揚者にかんするメディア報道の推移との比較から、それらの交渉的関係の位相を解明することを目的としている。 本研究の初年度となる平成23年度は、(1)朝鮮・旧満洲地域の引揚者による文芸的実践関係資料の調査収集、(2)引揚者にかんする新聞雑誌関係記事の調査収集、(3)1960年代後半から1970年代における外地引揚関連文献の整理、を中心に実施した。(1)については文芸創作とともに、地方サークル誌・文芸雑誌に掲載された手記・回想記を含めており、(2)とともに書誌として整理している。(3)については外地引揚文学ブームのあった1960年代後半から1970年代前半を中心に資料を収集し文献リストとしてまとめている。 その他には、朝鮮半島における戦前の在朝鮮日本人の地域コミュニティ活動にかんする資料調査を実施し、敗戦時の引揚事業関連資料との比較分析を進めた。これについては、1960年代後半以降、外地引揚文学のブームなどから形成された引揚体験の再物語化には必ずしも反映されない領域であることから、平成24年度以降も継続的に調査するものとしたい。 平成23年度における資料調査の成果については、(1)の朝鮮・旧満洲地域の引揚者による文芸的実践に関する論考を執筆中であり、平成24年度中に公表の予定である。また、その他のものについても準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で記したとおり、平成23年度は本研究計画の基盤として各研究項目の資料調査を中心に実施し、初年度の達成度としてはおおむね順調に進展している。ただし調査した資料が多岐にわたったため、初年度中に研究成果の一部を公表できなかった点は残念である。これについては平成24年度中に公表できるよう執筆を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降の本研究の推進については、平成23年度に調査収集した資料を適宜分析し、追跡調査を実施しつつ、書誌的な完成度を高めることをめざしている。特にこれまで見逃されていた外地引揚者による文芸的実践の発掘に努め、在朝鮮旧満洲日本人の地域コミュニティ活動についての調査も継続したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の使用計画としては、韓国等を含めた海外の先行研究の把握、および初出資料把握のための資料収集等、平成23年度中に十分調査しえなかった部分を中心に使用する予定である。
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