研究課題/領域番号 |
23520228
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中根 隆行 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (80403799)
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キーワード | 外地引揚げ / 在朝鮮日本人 |
研究概要 |
本研究は、1945年から1950年代における朝鮮・旧満洲地域から帰還した外地引揚者による文芸的実践の軌跡を検証するものであり、外地引揚者にかんするメディア報道の推移との比較から、それらの交渉的関係の位相を解明することを目的としている。 平成24年度は、前年度に実施した朝鮮・旧満洲地域の引揚者による文芸的実践関係資料と引揚者にかんする新聞雑誌関係記事の調査収集の結果を受けて、朝鮮半島における1945年以前の在朝鮮日本人の地域コミュニティ活動にかんする資料調査を入念に行い、1945年以降の引揚事業関連資料との比較分析を進めた。 平成24年度の研究成果については、「宗主国文芸の転回――朴魯植と日韓俳句人脈」(『社会文学』37号、2013.2)と「村上杏史と外地引揚げ体験記の文脈――『手記 三千里』を読む」(『歴史の資料を読む』創風社出版、2013.3)を公表している。前者は、朝鮮俳人朴魯植の影響を受けた在朝鮮日本人の戦後と韓国俳人との関係性を考察した論考であり、後者はその中の一人である村上杏史の外地引揚げを検証した論考である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要において述べたとおり、平成24年度は前年度における資料調査の結果を受けて、研究成果を学術論文として公表することができた。また、これらの成果の内容についても、外地引揚げ後の文芸実践としてのみならず、在朝鮮日本人の朝鮮半島での活動と比較考察することによって、新資料も含めた外地引揚げの事例を検証することに成功した。ただし、これらは村上杏史や井上兎径子ら個人にかんするものであり、さらに朝鮮引揚げ者の文芸実践とその社会表象について検討を重ねている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の推進については、これまでに調査収集した資料の分析・整理とともに、追跡調査を適宜実施しつつ、完成度を高めることをめざしている。また内容としては、外地引揚者による文芸的実践のありようを、主に在朝鮮日本人による俳誌等の文芸活動と比較考察することよって進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の使用計画については、関連資料調査を中心にさらなる資料調査と分析に努めるため、国内外での資料調査や関連書籍の購入等に使用するよう計画している。
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