研究課題/領域番号 |
23520228
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中根 隆行 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (80403799)
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キーワード | 外地引揚者 / 社会的記憶 |
研究概要 |
平成25年度は、前年度までの研究の総括、特に朝鮮半島からの引揚者の諸活動を精査しながら研究に取り組んだ。資料分析では、新たな研究への接続を意識しながら敗戦後の伝統詩歌領域での引揚者のその後を検証した。朝鮮半島および旧満洲において俳句や短歌に携わった人々の戦後は、1950年代以降に回想録などが現れ、事例は少ないが1965年の日韓基本条約以降に人的交流が多くなるという特徴も認められる。その際に敗戦後の文芸的実践と人的交流が密接な関係にあり、特に朝鮮半島における俳句や短歌の人的ネットワークは重要なものとなっている。これについての成果は、朝鮮半島における俳句作家と敗戦後の人的ネットワークを考察した「朝鮮詠と郷土―異郷を詠む俳句の素性」(愛媛大学、平成25年12月21日)と題する学術講演でその一端を報告した。また、敗戦後の外地引揚げにかんする社会的記憶編成という点では、朝鮮引揚者を対象にした事例を平成26年度中に公表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外地引揚者の文芸的実践については、朝鮮半島における伝統詩歌に関連した敗戦後の人的ネットワークの調査は徐々に進展しているものの、朝鮮刊行の資料や敗戦後の状況などの追跡調査が資料散逸や所蔵先不明のため遅延している。このために敗戦後における外地引揚者の社会的表象についても、その成果を公表する段階まで至っていないのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
現在の状況から、平成26年度にかけて期間を延長し、特に敗戦後における外地引揚者の社会的表象にかんする成果を発表する予定である。また、成果発表後には、報告書作成に入り、本研究の成果を新たな研究に繋げられるよう尽力する。
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次年度の研究費の使用計画 |
資料調査が新たに必要な問題があるため、次年度に繰越使用額を申請した。 資料調査を目的とした国内出張を実施するために使用する計画である。
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