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2012 年度 実施状況報告書

近世前期における九条家蔵書の復元とその文献学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520237
研究機関目白大学

研究代表者

石澤 一志  目白大学, 社会学部, 講師 (30507752)

研究分担者 中川 博夫  鶴見大学, 文学部, 教授 (70211414)
佐々木 孝浩  慶應義塾大学, 付置研究所, 教授 (20225874)
キーワード九条家 / 文庫 / 蔵書 / 文学 / 右筆 / 書写活動
研究概要

九条家が所蔵していた蔵書群、とりわけ近世前期の当主・九条道房により行われた書写活動の形成に関わる書写活動を明らかにし、それを支えた右筆によって行われた書写活動を解明するべく、調査を行った。 24年度においては、天理図書館に所蔵される九条家本の目録による悉皆調査を行い、そのリストアップを行い、実物の確認とそれら諸本の書誌調査を行い、九条家本書写の実態を明らかにした。
一方、宮内庁書陵部所に所蔵される九条家本に関しては、カード目録による悉皆調査を行い、全体の3分の2程度の目録調査を行った。また並行して、実物も確認しながらの書誌調査を行い、九条道房の行った書写活動の実態を明らかにしつつある。具体的には、寛永19年前後から活発化する書写活動のうち、20年頃に一つの山があることが明らかになってきており、文学関係の典籍の書写が顕著に顕れること、同時に特定の右筆がそれに関わり、大量の典籍の書写が行われていることが、明らかとなったが、その他にも、九条家に関連する寺院との書承関係を示す典籍があることが、知られるようになってきた。
九条道房の行った書写活動のうち、寛永二十年を中心に行ったものの中に、ある特定の右筆が関わっていることが次第に明確になってきた。今後ともその解明に努め、調査を継続する。同時に、近世前期から初期に整理された九条家の蔵書全体を明らかにすることで、他の公家や寺社とのつながりも見えてくることが予想される。
以上昨年度から今年度夏にかけて明らかになったことを踏まえ、現状の報告と各科研構成員の意見交換および、今後の活動についての会議を、9月に、目白大学を会場に開催した。また、3月には科研構成員6人で天理図書館に赴き、集中的な書誌調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

24年度において、天理図書館に所蔵される九条家本の概要把握のため、目録による悉皆調査を行い、そのリストアップを行った。これに関しては、一通りの調査を完了し、その実物の確認とそれら諸本の書誌調査を行い、九条家本書写の実態と内容を を明らかにする。ほぼ予定通りに進行している。
宮内庁書陵部所に所蔵される九条家本に関しては、カード目録による悉皆調査を行い、全体の3分の2程度の目録調査を行った。また並行して、実物も確認し書誌調査を行い、九条道房の行った書写活動の実態を明らかにしつつある。こちらも、ほぼ順調であるが、九条道房の書写活動を自筆日記と照会し、跡づける必要があり、本年度はその方面にも力を入れたい。
また九条家本として巷間に散在する写本ののうち、慶應大学斯道文庫所蔵本・鶴見大学図書館本・国文学研究資料館所蔵本を調査し、この他、実践女子大学本については、本年度より本格的な調査に入る。また、広島大学・島根大学・日本大学などに所蔵される九条家本については、本年度中に行う予定で、ほぼ予定通りに進行している。

今後の研究の推進方策

近世初期から前期にかけて形成・整理された、九条家本の全体像把握のために、これまで判明したところを纏めてゆく作業が必要となる。個別の調査をなお継続しつつ、それらを総合的に捉える作業を行うべく、今年度も、夏場以降に会議および研究発表会を開催し、意見交換を行いたい。
また、他の科研費事業の中に、本科研と関連するものが見受けられるのでそれらの成果との提携を探ってゆく必要があると思われる。
具体的には、九条家旧蔵本のうち、九条道房が関わって整理・書写された典籍の中から、筆跡的に基準となりうるもの、また書承関係上、重要な問題を含むと考えられる典籍の調査と、その書影の収集を進め、電子データ化することを目指す。

次年度の研究費の使用計画

九条家旧蔵本のうち、散佚し各地に散在する典籍を実地に調査するために、旅費として使用する。
また、それら調査済み典籍のうち、書影が必要と思われるものに関しては、紙焼き写真・コピー、デジタルデータなど、所蔵先の様式に従って、可能な限りを収集・整理することに使用する。
さらに、その結果の整理・データ化に必要な、パソコン周辺機器および記録媒体・メディア等の購入に使用する。
そして、本科研で明らかになった結果を纏めた報告書を、紙媒体かデジタルメディアの、いずれかの形をもって公刊するために使用したい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 室町期東国武士が書写した八代集―韓国国立中央図書館蔵・雲岑筆『古今和歌集』をめぐって―2013

    • 著者名/発表者名
      佐々木孝浩
    • 雑誌名

      成城国文学

      巻: 29 ページ: 27-42

  • [雑誌論文] 巻子装の平家物語―「長門切」についての書誌学的考察―2013

    • 著者名/発表者名
      佐々木孝浩
    • 雑誌名

      斯道文庫論集

      巻: 47 ページ: 89-110

  • [学会発表] 伝海北友雪筆『東北院職人歌合』をめぐって2012

    • 著者名/発表者名
      石澤一志
    • 学会等名
      和歌文学会
    • 発表場所
      二松学舎大学
    • 年月日
      20121013-20121014
  • [図書] 日本の書と紙  古筆手鑑『かたばみ帖』の世界2012

    • 著者名/発表者名
      石澤一志・久保木秀夫・佐々木孝浩・中村健太郎
    • 総ページ数
      246
    • 出版者
      三弥井書店
  • [図書] 京極為兼2012

    • 著者名/発表者名
      石澤一志
    • 総ページ数
      120
    • 出版者
      笠間書院
  • [図書] 平安文学をいかに読み直すか2012

    • 著者名/発表者名
      久保木秀夫・佐々木孝浩・中川博夫 他
    • 総ページ数
      281
    • 出版者
      笠間書院

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公開日: 2014-07-24  

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