研究課題/領域番号 |
23520246
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山崎 淳 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (20467517)
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キーワード | 日本文学 / 真言密教 / 寺院所蔵文献 / 近世 / 説話 / 仏教文学 |
研究概要 |
1、本研究の基本となるのは、地蔵寺(大阪府河内長野市)所蔵文献の調査である。蔵書の核となっているのは、同寺開山・蓮体(1663~1726)の所持本である。前年度に引き続き、原則として箱番号の順に全蔵書の書誌を記録する悉皆調査を行い、その結果をデータベース化する作業を行っている。ただし、蓮体(及び師の浄厳)の著作が集中する19、20箱や、特に重要と判断した資料については箱順にこだわらず調査を進めた。書誌調査を含め、各文献を精査することにより、古さや規模において他の寺院に突出しているわけではない同寺が、質・量とも充実した文献を所蔵していることが明らかになってきた。 2、調査の成果の一部は、『仏教文学』36・37合併号において学術論文として発表した。当該論文では、寺院に所蔵される近世文献の重要性、及び寺院所蔵文献における版本の意義付けを提唱した。また、地蔵寺所蔵文献における蓮体自筆の書き入れが、説話伝 承資料、蓮体の伝記資料、同時代資料として大きな意味を持つことも提示した。これらの指摘は地蔵寺調査のみにとどまるものではなく、今後の仏教文学研究、寺院資料調査一般、近世文学研究へもつながっていくことが期待できる。 3、所蔵文献の中には、文学作品の諸本研究に資するものが存在することも確認された。すなわち、ある作品の本文・流布・出版について、研究を進展させる可能性を持つ文献が見出されたということである。この点において、地蔵寺所蔵文献にさらなる価値が加わったとともに、今後の調査に新たな指標が提示されたとも言える。なお、成果の一部は次年度に論文化される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1、地蔵寺所蔵文献の悉皆調査については、1~20、22~26、34、30、35、39、47、49箱がほぼ終了している。また、それ以外の箱においても、半分以上の調査を済ませている。資料の点数としては全体の約八割を調査し得たことになる。 2、調査の済んだ資料については、目録(データベース)への転記(パソコンへの入力)が完了している。 3、成果の公表として、雑誌『仏教文学』に学術論文を公表した。本年度は、震災の影響を受けた前年度の分を取り戻すべく、現地調査とその整理に力点を置いたため、本数は少なくなった。しかしながら、近時公表予定の論文もあり、全体として順調に進展していると言える。 4、書誌調査とともに写真撮影にも力を入れた。時間の制約上、すべての文献にわたり全量を撮影するのは不可能だが、重要と認められるものについてはできるだけ全量を撮るように努めた。 5、昭和に作成された簡易目録に載っていない、もしくは略記されていた文献(約10箱分)の調査を進めた。その結果、地蔵寺所蔵文献の形成過程を考える材料となるもの、数は少ないが中世に遡るものなど、今後の研究の進展を期待させる文献が見出された。
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今後の研究の推進方策 |
1、地蔵寺所蔵文献調査は、平成24年度の調査方針を継続し、データの増補・充実を目指す。特に、整理番号が付されておらず、未調査である秘密儀軌類について積極的に調査を進める。また、書誌調査と並行して写真撮影を行う。これはできる限り全量の撮影を進める。 2、データ入力は、平成24年度の方針を継続し、調書情報のパソコンへの入力を随時行い、データベース化を進める。また、これまでの整理で遺漏が認められたものは再調査し、補足分をデータへ反映させる。 3、地蔵寺以外の蓮体関係寺院所蔵文献についても調査を進め、データの増補・充実を目指す。特に金剛寺については重点的に調査する。 4、図書館・研究機関所蔵の関連資料収集は、平成24年度の方針を継続し、データの増補・充実を目指す。 5、研究成果の一部を、学会・学術雑誌などに発表する。次年度は本科研の最終年度に当たるので、上記1~4の点を踏まえて研究成果報告書を作成する。また、書誌調査をデータベース化したものを「地蔵寺所蔵文献目録」(仮)として公刊することを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
1、平成24年度に引き続き、現地での調査を充実させる。そのために、旅費の使用が軸となってくる。 2、文献資料の収集については、他の研究機関に所蔵されているマイクロフィルム・紙焼き写真の購入を中心に進めていく予定である。 3、未調査分の文献がどのような質・どれくらいの数量のものであるのかにもよるが、可能な場合、「地蔵寺所蔵文献目録」(仮)の公刊に当てる。 4、その他の備品・図書・電子資料等は、必要に応じ随時購入する。
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