研究課題/領域番号 |
23520247
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
福田 安典 日本女子大学, 文学部, 教授 (40243141)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 俳諧 / 四国 / 栗田樗堂 / 山中時風 / 淡々 / 庚申庵 |
研究概要 |
四国にはかなりの量の俳諧資料が残されている。にも関わらず、地域的な保護環境の難しさ、人口減少、自治体の疲弊、人材の不足から、これらの貴重な資料が虫損、破損の危機に瀕している。本事業は、それらの俳諧資料の総合的調査委と研究を通じて、その保存を世に訴えるものである。 四国地域の俳諧資料の総合調査の資料作りとして、まず各地に残される目録や市史について、製本(仮とじも含む)されたものを収集、そのデータ化を行った。初年次は徳島と愛媛と香川に重点を置いた。徳島では四国大学凌宵文庫、香川では『香川県俳諧史』所載の俳書や香川大学神原文庫、愛媛では愛媛大学、愛媛県立図書館、四国中央市暁雨館などである。 また、地域の郷土史家や教育委員会が出した資料を収集、そのデータ化を行った。これらの資料にこそ通常の日本文学研究者の手が届かない貴重な資料群が掲載されているのである。その貴重さに反比例して、これらの資料は私家版の要素も強いこともあって、残りにくくなっっている。各郷土研究の顕彰、今後の俳諧資料の保存も含めて、これらの資料の一覧表を作成中である。 四国の俳諧資料は、特に松山では、その俳句熱の高さという風土とあいまって独特の風景を現代に展開している。英語俳句などはその最たる現象であって、本事業とタイアップする形で、国際社会への発進力として英語俳句に期待するところは大きいが、そのためには科研公布事業による俳諧調査の基本書が必要である。その基本書の作成のための研究として、松山にある栗田樗道が寛政十二年に俳諧と煎茶のために建立した庚申庵の研究が有効である。庚申庵、もしくはその主の栗田樗堂についてはある程度の研究に見通しが立ったので、2012年度に成果を公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
四国の俳書というのは、これは想定内のことではあったが、量も多く質も高い。そのために、おおむね順調に進展しているが、高知の俳書には未着手である。
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今後の研究の推進方策 |
四国地域の俳書の調査と研究を継続する。その中で、成果については学術論文で発表する。また、シンポジウムなどで発表することで展開していきたい。 四国地域の俳書の調査と研究についてもデータ化を推進し、報告書としてまとめる。 最終年度には、四国において「俳諧サミット」(仮題)を開催する。具体的には、四国地域の俳書の調査と研究を通じて得られた研究成果を、地域における古典籍資料保存の問題とからめて報告することで、現在保存の研究環境の危機に迫られている江戸期の俳書保存の問題に取り組むことを狙っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
2011年度に科研費の交付を受けた研究成果を公開する。具体的には、四国伊予松山の庚申庵及び栗田樗堂について、伝記と煎茶との関係を中心に学術論文を作成し、公表する。同時に、庚申庵の由来となる「庚申」についての資料紹介を含めて、中国のハルピンで8月に開催される国際シンポジウムで研究発表をする。 四国の俳書の調査については、前年度に引き続きデータ入力を続行する。 それらの渡航費用や資料収集に次年度の研究費を使用する計画である。 その他、上記事業に関連した通信費や事務雑費、書籍購入に研究費を執行する。
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