本研究は、近世後期以降現在までの東海地方の俳諧資料を収集し整理して、その特徴を明らかにすることを目的とする。特に俳諧の盛んな地域である尾張・三河・美濃の資料を扱う。 そこで、当初の研究実施計画に従い、本研究期間全体を通じて、個人蔵及び高浜市立図書館・郷土資料館蔵の未整理資料等の撮影・複写につとめた。その中で遊戯的な雑俳を含む資料紹介・翻刻が少ないので、重要な俳諧会所本3編と抜書2編を翻刻紹介し、埋もれた資料を公表した。(1)「雲鈴撰会所本『はいかい花の遊び』『はいかい鵙の初音』の紹介と翻刻」(「椙山女学園大学研究論集」45号 2014年3月)、(2)「雲鈴撰会所本『誹諧冬至梅』の紹介と翻刻」(同46号 2015年3月)、(3)「お高撰俳諧会所本の興行時期の再検証 付、翻刻:お高撰「はいかい正月集」「はいかい百戦もの語」抜書」(同43号 2012年3月)。 収集した資料群の中から、特に次の3点を論じ、他に、調査の中で得られた(4)「石橋庵真酔の墓石・歌碑」(研究ノート)(「東海近世」20号 2012年7月)を公表した。(5)「お高撰俳諧会所本の興行時期の再検証」〔(3)に同じ〕、(6)「大正十年頃の東三河の狂俳―銀かん社「若竹集」を中心に―」(「椙山女学園大学研究論集」44号 2013年3月)、(7)「寛延三年地方会所本にみる雑俳点者雲鈴とその影響」(「東海近世」22号 東海近世文学会 2014年7月) 他に、(8)インターネット・ブログの立ち上げ作業と、次につながる新しい視点を含む研究として(9)口頭発表「柳亭雨人編『狂俳入門』と俳諧―狂俳句の推敲・俗談平話の理解」(東海近世文学会 2014年10月11日)を行った。 最終年度は、研究実施計画に基づき、主に個人蔵の資料の撮影・複写につとめ、上記(2)・(7)の公表及び(8)・(9)を行った。
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