研究課題/領域番号 |
23520259
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研究機関 | 京都光華女子大学 |
研究代表者 |
朝比奈 英夫 京都光華女子大学, 人文学部, 教授 (50248936)
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研究分担者 |
藤田 洋治 東京成徳短期大学, その他部局等, 教授 (60165397)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 赤人集 / 和歌 / 万葉集 / 私家集 |
研究概要 |
23年度は、『赤人集』の校本作成を中心に活動した。冷泉家時雨亭叢書の該当部分、また国文学研究資料館の紙焼き写真を中心に校本の作成に当たった他、文庫の調査は、書誌情報が不明であった東奥義塾高校図書館(青森県弘前市)、及び国文学研究資料館に資料がない東海大学図書館蔵桃園文庫本(3本、神奈川県平塚市)を対象として行なった。 藤田は、『赤人集』の本文調査・本文校合のための校本を作成し、伝本ごとの収録和歌数および、収録和歌ごとの諸伝本の本文の校異を網羅するための調査用紙の作成を行った。この用紙が完成すれば、現在知り得る現存伝本すべての本文が一覧できることになる。全ての和歌をデータ化しつつある状態で、24年度には、完成の予定であるが、このために、国文学研究資料館に2回、また詳細な書誌情報を調査するために、長野・真田記念館の伝本と佐賀県肥前松平文庫の伝本の調査を行なう予定である。 朝比奈は、『赤人集』の主要な伝本の本文と万葉集の伝本の種々の訓、また歌学書や勅撰集、私撰集、他の私家集にも所載された和歌の本文を一覧するため、フォーマット作成しデータを入力中である。藤田、朝比奈の調査結果を併せることにより、ほぼ予定する研究の内容が明らかになると思われる。今後、研究計画を遂行する上での留意点として、他家集の本文に新資料が出現していること、歌学書の本文異同の調査に意外な時間が取られることが挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査対象のうち、東海大学桃園文庫蔵本など写真撮影が許されない資料は、筆記による作業を行っているため、調査に予定よりも多くの時間をかけることになった。また、他家集の本文に新資料が出現しているため調査範囲の見直しが必要になること、対象としている歌学書の本文異同について調査に意外な時間が取られていることなどが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に続いて、『赤人集』本文の精査・校合及び、勅撰集、歌学書等の所載歌も調査を並行して進める。研究の進行状況によって、調査対象の見直し等を適宜、行い、研究計画の適正な進行を図る。調査結果を『赤人集』の校本としてまとめるべく、その体裁と内容を検討し、完成を視野に入れて作業を進める。調査の過程で明らかになった知見は、朝比奈、藤田がそれぞれ研究論文という形にまとめ公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費として260,000円を計上する。使途として、まず研究に必要な『赤人集』の伝本調査を実施する。長野・真田記念館の伝本と佐賀県肥前松平文庫の伝本を調査を行なう予定である。また、東海大学桃園文庫にも必要に応じて追加調査を行う。原本調査にあたっては、許可を得られる場合はカメラまたはスキャナでの撮影を行い、その他の場合は筆写を行う。次に分担して進める『赤人集』諸本の校合と考察結果の検討会開催する。収集した諸伝本の校合と考察は、研究代表者と研究分担者とが担当範囲を決めて行うが、研究の効率化を図るために、それぞれが校合と考察結果の原稿を作成し、2ヶ月に1回、東京(東京成徳短大)または京都(京都光華女子大)で検討会を開き討議を行い相互の原稿を点検する。 物品費として100,000円を計上する。『赤人集』を含む私家集研究に必備の資料を購入する。これらは、必要に応じて京都光華女子大学または東京成徳短期大学に配置する。 以上の他に調査対象機関への謝礼等に30,000円、データ入力補助に10,000円を計上する。
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