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2012 年度 実施状況報告書

平安時代における『万葉集』訓読本文の研究-私家集を中心として

研究課題

研究課題/領域番号 23520259
研究機関京都光華女子大学

研究代表者

朝比奈 英夫  京都光華女子大学, 人文学部, 教授 (50248936)

研究分担者 藤田 洋治  東京成徳短期大学, 言語コミュニケーション科, 教授 (60165397)
キーワード赤人集 / 和歌 / 万葉集 / 私家集
研究概要

24年度は、23年度に続いて『赤人集』の校本作成および諸書に記載の訓読本文の調査を行った。冷泉家時雨亭叢書の該当部分、また国文学研究資料館の紙焼き写真を中心に校本の作成に当たった他、文庫の調査は、内容が不明であった今治市立河野美術館蔵の『柿本朝臣・山部宿禰歌集』の実地調査を行った。その成果を研究論文「近世期の人麻呂・赤人の一面-河野美術館蔵『柿本朝臣・山部宿禰歌集』について-」(『東京成徳短期大学紀要』第46号)として公表した。
藤田は、『赤人集』の本文調査・本文校合を行い校本作成を継続した。作業に若干の遅れが生じているが、必要な実地調査が24年度で終了したので、25年度は校本作成に全力を傾注し、所期の目的を完成さたい。なお、藤田は所属変更に伴い研究分担者から外れるが、自らの研究に資するために引き続き計画の遂行に協力する。朝比奈は、『赤人集』伝本の本文と万葉集の訓、および諸書に記載されている赤人歌の訓読本文を一覧するデータ入力を継続中である。これについても、下記の新出伝本の調査に時間を割いたため、若干の遅れが生じている。
また、重要な成果として新出の『赤人集』伝本を発見したことが特筆される。予備的な調査によれば、当該写本は江戸初期の筆写と見られ、流布本(正保板本)に先立つ本文を有していると思われる。本研究計画にとって、貴重な発見であるため、その内容を公表すべく、精査を開始した。藤田、朝比奈共同で、同様の性格を持つ静嘉堂文庫本、内閣文庫本、真田本、桃園文庫本との比較対照を行う準備をしている。今後、研究計画を遂行する上での留意点として、研究計画の内、遅れている部分に力を注ぎ、計画の順当な進行を図ることが挙げられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

調査の進行を踏まえて当初計画で設定した調査対象と範囲について再検討した結果、多数の伝本が属する歌仙家集系統、西本願寺本系統で調査の必要度が低い伝本が含まれること、諸書に記載の訓読本文の調査対象を江戸初期までとしていることが、計画の進行を遅らせている要因であるとの判断に至った。
また、新出写本の調査に予定外の時間を割くことになったため、校本や本文データの作成に遅れが生じることになった。

今後の研究の推進方策

24年度に続いて、『赤人集』本文の精査・校合及び、勅撰集、歌学書等に所載の訓読本文の調査を進める。24年度中に調査対象・範囲の見直しを行った結果、『赤人集』本文の校合の対象を主要な伝本に絞ること、訓読本文の調査を室町前期(およそ宗祇の頃)までの資料とすることを決めた。これによって調査対象・範囲が当初計画の3分の2程度に絞り込まれるので、研究計画の適正な進行が図られ、かつ的確で有効な成果を期待することができる。
また、新出の『赤人集』の調査結果を公表する。調査の過程で明らかになった知見は、朝比奈、藤田がそれぞれ研究論文という形にまとめ公表する。なお、研究分担者(藤田)の所属変更により、研究代表者(朝比奈)の単独研究になるが、藤田は自らの研究の一環として引き続き本文校合を担当し計画実行を補助する。

次年度の研究費の使用計画

必要とされる実地調査を終えたため旅費は6回の研究会分とし、成果の公表についても電子書籍とすることで経費を圧縮する。これによって、使途を校本作成と本文データ入力に集中する。その謝金として、400,000円を計上する。使途として、本文データ入力に複数の協力者を短期雇用し、その謝金として、1件あたり1.5時間×260件×830円として概算330,000円、校本作成補助に1件あたり0.3時間×260件×830円として概算70,000円を予定する。物品費等として100,000円を計上し、『赤人集』を含む私家集研究に必備の資料を購入する。これらは京都光華女子大学に配置する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 「近世期の人麻呂・赤人の一面-河野美術館蔵『柿本朝臣・山部宿禰歌集』について-」2013

    • 著者名/発表者名
      藤田洋治 朝比奈英夫
    • 雑誌名

      東京成徳短期大学紀要

      巻: 第46号 ページ: 1~21

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公開日: 2014-07-24  

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