研究課題/領域番号 |
23520263
|
研究機関 | 四天王寺大学 |
研究代表者 |
田島 智子 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (80268474)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2017-03-31
|
キーワード | 歴史資料の美術関連記述 / 文学に関わる画像 |
研究実績の概要 |
(1)文献の収集整理について…研究の当初より行っていた文献の収集整理は、文学的な文献についてはほぼ終わっている。歴史的な文献の収集ももうすぐ終わる見込みである。 (2)美術作品の収集整理について…当該年度は、刊行された絵巻類・展覧会図録を中心に調査し、画像データとして収集整理した。とくに、京都御所の屏風絵・障子絵に、平安時代の屏風絵に関連する図柄が多くあり、それを収集整理できたことが大きな収穫であった。その他、「神護寺山水屏風」・各種「洛中洛外図屏風」・「月次絵」、「石山寺縁起絵巻」「法然上人絵伝」などの絵巻に、本研究にとって有効な絵を見出すことができた。 (3)先行研究の調査収集について…当該年度において集中的に調査・取集した先行研究は、京都御所の屏風絵・障子絵について、および執筆した論文のテーマ「網代」についてである。 (4)論文の執筆について…画像データの収集整理は全体からみるとまだまだ不十分であるが、画像データがある程度集まった絵柄について、論文の執筆を開始した。当該年度に執筆を終えた論文は、「平安中期の屏風絵と屏風歌の関係―網代を例として―」(『詞林57号』大阪大学古代中世文学研究会発行 平成27年4月)である。本論文は、先行研究で言われてきた、歌が元になって屏風絵が描かれたという状況に加えて、屏風絵と屏風歌が相互に作用しあって絵が変わり歌が変わっていった状況を、「網代」という晩秋の題材に注目して明らかにしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
(1)美術作品データの収集・整理…計画より手間取っている。手間取っている原因は二つある。一つは、後世の美術作品から平安時代の屏風絵に近い図柄を探し出すことが、予想より難しいためである。大和絵を中心に調査中であるが、見つかる種類が見込みよりも少なくなるかもしれない。原因の二つ目は、昨年度から研究協力者として学生2名に依頼し画像データを入力してきたが、研究協力学生が就職活動を開始し入力の時間が減ったためである。
(2)論文の執筆数…計画より少ない。原因は、データの収集整理をある程度終えてから執筆しようとしているためである。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)美術作品データの収集・整理…さらに調査範囲を広げて関連図書を購入し、平安時代の屏風絵に近い図柄を後世の美術作品から、鋭意収集する。また、現在の研究協力者2名の他に、画像データ入力のための新たな研究協力者を依頼するつもりである。
(2)論文の執筆数…データの収集整理と同時進行で執筆していく。ある程度データが集まった絵柄であれば執筆が可能であることは、すでに執筆を終えた論文により確認済みである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(1)書籍・展覧会図録の購入…美術作品のデータを収集するために各種書籍・展覧会図録を購入してきたが、いまだ必要な書籍・図録の購入を終えていない。そのため、物品費が計画より少なくなっている。 (2)研究協力者への謝金…美術作品のデータを入力するため、研究協力者2名を依頼しているが、研究協力者の都合により入力作業が進んでいない。そのため、謝金が計画より少なくなっている。
|
次年度使用額の使用計画 |
(1)書籍・展覧会図録の購入…必要な書籍・図録をなるべく早く選定し、購入する。 (2)研究協力者への謝金…現在の研究協力者2名以外にも新たな協力者を依頼し、集中的にデータ入力を行う。
|