万葉集の短歌形式の和歌は5単位、7単位の定型句からなるが、しばしば字余り句が認められる。字余り句の生起率は句中の母音音節の位置と相関があり、規則性が認められる。その理由は唱詠法が歌詞に対して独立していたことに起因するとみられ、何らかの旋律にあわせて唱詠していたものと予測される。ところが、萬葉訓詁学の発展によって本文の文字列を訓読する方法と類句による施訓によって、旋律や唱詠法に伴う規則性が動揺しているようにみえることから、本研究では万葉集の諸本での字余り句の悉皆調査を行った。結果として次点期のものほど規則性が強く表れ、仙覚以降にそれが動揺することが知られた。
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