絵入版本『栄花物語』は江戸時代初期に刊行された。その絵入版本は抄出本文を持っており、作品を熟知した人物によって作成されたと思われる。それは誰か。今回、研究代表者が入手した写本は絵入版本と同じ本文を持っており、「季吟しるす」の識語を奥に持っている。加えて、この写本の文字は、絵入版本の文字に酷似している。そこで、この写本と絵入版本との関係を調査することにより、未知の事柄を解明した。その結果、北村季吟は版本刊行に関与していると思われた。 学習院大学蔵『栄花物語』の本文は古体なものであると報告されたが、さらにその価値について調査する必要があった。現在、古筆切なども含めて調査を続けている。
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