南米移民が開始して既に1世紀以上が経過し、現在では日本語社会は縮小の一歩をたどっている。本研究は日本語活動の重要な拠点である文芸サークルの現在をブラジルとアルゼンチンで観察することを目標とし、数度にわたるフィールドワークを行ってきた。ブラジルではサンパウロとトメアスー(パラ州、アマゾン川流域)のほぼ最後の短詩サークルの句会と接触し、定型詩にこめられた自然描写や郷愁を確認した。アルゼンチンでは唯一の日本語新聞で長く働き、70年代より文芸に携わってきた崎原朝一氏とインタビューし、郊外の日系移民資料館を訪問し、文芸雑誌の所蔵を確認した。
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