研究課題/領域番号 |
23520274
|
研究機関 | (財)古代學協会 |
研究代表者 |
藤本 孝一 (財)古代學協会, その他部局等, 研究員 (90124320)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 源氏物語 / 大島本 / 古典文学 / 写本 / 校正 / 原本 |
研究概要 |
課題「大島本『源氏物語』の本文復元研究」に際して用いる『源氏物語』は、現在翻刻され流布している岩波書店「新古典文学大系」の底本に使われている古写本である。古代学協会が所蔵し、大島雅太郎旧蔵本から一般的に「大島本」といわれている。 この大島本は江戸時代に数回にわたり校正されていて、書写当時の本文がわからない状態にある。本研究の目的は、擦消し・なぞり・挿入などで改変されている本文を、書写当初の本文に復元することである。この作業をするために、本文1面10行書きのとおりに翻刻をした。その結果、大島本の本文は、80万字あることが判明した。 この翻刻作業には膨大な時間を要した。この本文を大島本と校訂する作業を行い始めている。翻刻した文字が改変されていないかどうかを1文字1文字検証している。 また、国文学研究資料館に集められたマイクロフイルムの『源氏物語』をはじめ、東京国立博物館に所蔵する保坂本『源氏物語』・中京大学が所蔵する『源氏物語』を調査して、大島本の比較検討をした。また、名古屋市が所蔵する蓬左文庫本『源氏物語』はカラーの影印本が出版が始まったので、購入して参考資料に用いた。 成果の一部として、NHKのBSで源氏物語特集が放映された時、大島本の解説を頼まれた際に、今回課題の成果の一部を収録の際に話をすることができた。大きな反響があったと聞いている。さらに、梅野きみ子先生が編集する『源氏物語全注釈』にも、この本文研究が使われている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大島本『源氏物語』の原本通りに、ワードで翻刻しデータ化できた。また、国文学研究資料館・東京国立博物館・中京大学等に行き、所蔵する『源氏物語』と大島本を比較検討することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
大島本原本を1文字1文字調査するとともに、蓬左文庫本をはじめとした全国の『源氏物語』所蔵者のもとに行き、大島本と比較研究を推進する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
大島本の比較研究のために、旅費が必要である。また、他の研究者とも大島本を研究するための費用も必要である。さらに蓬左文庫本のカラー影印本等を購入して比較研究する費用計画をしている。
|