研究課題/領域番号 |
23520277
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 美津子 東北大学, 国際文化研究科, 名誉教授 (60073318)
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キーワード | 国民小説 / 歴史小説 / シドニー・オーエンソン / マライア・エッジワース / ウォルター・スコット / 植民地主義 / 帝国主義 / アイルランド |
研究概要 |
ロマン主義時代に誕生し成立した国民小説(National Tale)は、植民地支配下にある小国を舞台にし、民族の過去の歴史や文化的栄光を讃え、その一方で現在の政治的苦境を宗主国である大国の読者に訴えることを主眼とするきわめて政治的な色彩の強い小説ジャンルである。本研究の主たる目的は、マライア・エッジワース(Maria Edgeworth)やシドニー・オーエンソン(Sydney Owenson)などのアイルランド出身の女性作家によって構築された国民小説がヴィクトリア時代に引き継がれていく過程でいかなる修正、変容を加えられたのかを、小説に用いられている枠組み、テーマ、道具立て、そして作家の政治意識、宗教意識などを分析することによって検証し、錯綜する19世紀小説にある種の見取り図を提示することである。 今年度は、昨年度に引き続き資料収集のために大英図書館に出かけ、本研究に有益な資料を入手した。論文は1篇公表した。「スコットの『外科医の娘』に描かれた危険な他者としてのインド亜大陸」という題で、ロマン主義時代を代表するウォルター・スコットのインドを舞台にした作品『外科医の娘』(1827)を取り上げ、この作品が「国民小説」の枠組み、テーマ、道具立てなどを用いた作品であるということを検証し、保守主義者としてのスコットの政治意識を反映した作品となっていることを論じた。 口頭発表は2回おこなった。「フィービ・ギブズの『カルカッタのハートリー館』に見られるインド表象」(第45回中東表象研究会)と「マライア・エッジワースの『縁故』に見られる国家観」(東北ロマン主義時代文学・文化研究会第二回大会)である。また日本英文学会第86回大会において「ロマン主義時代の女性作家とヘースティングズ弾劾裁判」(2014年5月25日、北海道大学)という題で招待発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集にかんしてはおおむね順調に進んでいる。論文の執筆もほぼ予定通りに進行している。今年度は、論文1篇と口頭発表を2回おこなった。来年度は、口頭発表したものを論文にまとめ、さらに口頭発表を2回おこなうことを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度である。今年度まで入手した様々な資料をさらに読み込み、整理して、3篇の論文としてまとめる予定になっている。また、当該研究テーマをより発展させた論考を口頭発表することになっている。
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次年度の研究費の使用計画 |
およそ12万円の次年度使用額が生じているが、この後予定されている学会出席や書籍購入などによりほぼ使用されることになっている。 次年度使用額は、わずかではあるが、今年度の研究遂行を効率的に遂行したことに伴って発生した未使用額である。平成26年度請求額と合わせて、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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