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2012 年度 実施状況報告書

ホガース研究:その神学とエロスの構図

研究課題

研究課題/領域番号 23520280
研究機関山形大学

研究代表者

中村 隆  山形大学, 人文学部, 教授 (00207888)

キーワードフリーメーソン / フリーメーソン憲章 / コーヒーハウス / ホガース / 『一日の4つの時』
研究概要

ホガースにおける英国18世紀の「フリーメーソン」の受容の実態の解明をした。具体的には、以下の3つのことについて解明した。
①「兄弟愛」の理想を掲げるフリーメーソン団は1717年にロンドンで発足し、1723年にアンダーソン(James Anderson)によって、『フリーメーソン憲章』(The Constitutions of the Free-Masons)が作られる。これはフリーメーソンの綱領であり、この結社(団体)の本質を知る上で重要な文書である。『フリーメーソン憲章』を精読した結果、本憲章が、歴史、責務、規約集、歌集の4つから形成されており、カトリックとプロテスタントの枠を超克するものとして、理神論を思想基盤としていることが解明された。
②18世紀前半のイギリスにおけるフリーメーソンの事業を具体的に検証した結果2つのことを解明した。1つは、フリーメーソンは、タヴァンやコーヒーハウスといった公的場所の内部で秘密結社化したこと。もう1つは、大衆にフリーメーソンの思想を伝播する手段として、チェインバーズによる百科事典出版事業があったことである。
③自身もフリーメーソン団員であったホガースの『一日の4つの時』(1738年)に対して、図像解析を施した。特に、第4図の解析を通して、モデルとなったフリーメーソン団員、De Veilのことが明らかになった。De Veilは反・ジン法というアルコール政策で悪名が轟いていた人物である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①『フリーメーソン憲章』(The Constitutions of the Free-Masons)の解読および解析については、当初の予定通りの実施がなされた。
②フリーメーソンとの同時代の関わりについては、タヴァンやコーヒーハウスという開催場所や、チェインバーズによる百科事典出版事業について分析ができたものの、同時代人のフリーメーソン受容について、18世紀前半のイギリスの新聞等の分析が遅れた。
③フリーメーソンとホガースの関わりについては、ホガースの『一日の4つの時』を具体的に取り上げることで、当初の予定通りの実施がなされた。

今後の研究の推進方策

①ホガースのポルノグラフィは「理神論」と「フリーメーソン」受容の帰結であり、それはしばしば「好色な聖職者」の図像として結実する。「好色な聖職者」に分類できる図版として、特に、『娼婦一代記』の第6図、『居眠りする会衆』を取り上げる。
②「好色もの」に分類できる図版として、特に、『ことの前』、『ことの後』、『当世風結婚』の第5図を取り上げ、ホガースのポルノグラフィのメカニズムの解明をする。
③18世紀英国のポルノグラフィ的文学(エロティカ)とホガースのポルノグラフィ的図像作品の関係性を解明する。ポルノグラフィ的文学としては、クレランド(John Cleland)の『ファニー・ヒル』(Fanny Hill, 1748-49)を取り扱う。

次年度の研究費の使用計画

①『娼婦一代記」の第6図、『居眠りする会衆』についての先行研究(論文、書籍)を収集する。
②『ことの前』、『ことの後』、『当世風結婚』の第5図についての先行研究(論文、書籍)を収集する。
③クレランド(John Cleland)の『ファニー・ヒル』(Fanny Hill, 1748-49)についての先行研究(論文、書籍)を収集する。
④画像読み取りの装置(スキャナ、画像解析ソフト、コンピュータ)の充実をはかる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 図書 (1件)

  • [図書] ディケンズ文学における暴力とその変奏(第9章の担当)2012

    • 著者名/発表者名
      中村隆、松岡光治、鵜飼信光、他
    • 総ページ数
      288頁(第9章、147-164頁)
    • 出版者
      大阪教育図書

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公開日: 2014-07-24  

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