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2012 年度 実施状況報告書

スティグマの切離・逸脱者の正常化:米国社会と文学に見る「奇形の男性性」表象

研究課題

研究課題/領域番号 23520289
研究機関金沢大学

研究代表者

久保 拓也  金沢大学, 学校教育系, 准教授 (80303246)

キーワード米文学 / ジェンダー学 / 障害学
研究概要

平成24年度は、当研究の基盤を成す学問分野、「障害学」、「男性学」の文献の収集と精査、および、中心的に取り上げる作家、と彼らを取り巻いた社会状況に関する文献収集と精査を継続して行った。取り扱う文学作品や作家も、アメリカとその文学を最も代表すると考えられている、マーク・トウェインが中心となっていることは継続されるが、現在はそこにのみとどまることをせず、20世紀から21世紀にいたる、いわゆる「児童文学」の範疇に属する作家や作品へと発展させている。
これまで注目を受けないままできた、それらの文学作品が表象する「障害」が表す諸相を、「男性学」との関連性に言及する形で明らかにしてきた。今年度は19世紀に始まり、20世紀以降の文学作品に特徴的に登場する「障害を持つ子供」に着目し、「障害」自身がもつ、作品内における多様な側面を、また、そのような子供が成長を重ねる中で帯びていく重層的な意味合いを巡って研究を進展させた。また21世紀を迎え手さらに多様化する文学・文化研究の中で、「障害」を重要な表象として解釈することが、特にアメリカの多様なメディアの中で発展し、すでに「ジェンダー」や「人種」「階級」と同程度と言えるほど一般的に認知されるものとなっていることについても研究を続けている。
今年度の成果発表は二回の研究発表、及び一本の研究論文の実績となった。平成24年8月20-21日に愛知工業大学本山キャンパスで開催された東海英米文学会において、当研究の内容に関する様々な問題提起を含む研究発表を行った。また平成24年10月12日、中京大学にて開催された、日本マーク・トウェイン協会第16回大会シンポジウム:「マーク・トウェインと子どもたち」に講師として参加し、「『子ども』と『障害』から考えるマーク・トウェイン」と題して発表を行った。またこのシンポジウムの様子は、同協会が発行する会誌に収録された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度は予算の執行が若干遅れることとなった。そのため、来年度への繰越金が昨年度に続いて発生したということが考慮されなければならないが、後半期に米国カリフォルニア大学バークレー校での集中的な調査を行う機会に恵まれたこともあり、研究は順調な進展を見せたと考える。そのことから、「おおむね順調に進展している」という判断とした。また、後述のように、24年度は二度の国内学会での成果発表とそれに基づく論文を成果を発表することができ、19世紀から21世紀までに及ぶ文学作品の中における「子供」と「障害」の関係を検討することができた、また、今年度の成果に基づき、25年度内に二度の米国学会での発表の機会に恵まれることが決定したことなどは、この研究の重要性への認知も順調に得られていると考えられる。

今後の研究の推進方策

最終年度に当たる平成25年度は、当研究の集大成として、研究の継続的な発展はもちろんのこと、研究成果を積極的に発信することに対して重点を置く。
すでに決定している研究発表に関して記すと、平成25年8月にエルマイラ大学(米国ニューヨーク州エルマイラ)で開催される、The Seventh Internatinal Conference on the State of Mark Twain Studies での発表が決定している。また、、同年10月に開催される、Modern Language Association西部地区(WLA)年次大会(米国カリフォルニア州バークレー)においても、日本人研究者によるマーク・トウェイン研究に関するパネルでの発表が決定した。
以上のように、この研究の評価を国際的に問うことができる貴重な機会を得たことは、24年度の重要な研究実績であると共に、今後の研究を大きく推進するための重要な要素となっている。これらの成果は学術雑誌等での論文として発表できるように、現在準備を進めている。
また、基盤とする、「障害学」「男性学」の基礎的文献の収集と精査、および、中心的な作家およびその文学作品、そして彼らを取り巻いた社会状況等についての文献収集と精査も継続する。取り扱う作家については、、アメリカとその文学を最も代表すると考えられている作家、マーク・トウェインを中心としつつも、様々な側面を明らかにできるように、時代と地域に関してこの範囲を大きく広げ、一層の充実を図っていきたい。

次年度の研究費の使用計画

資料収集、および成果発表のための海外渡航費が主要な用途となる予定である。前述のようにすでに決定している二度の学会への参加のために研究費が使用されることとなる。また、次年度においても、最新の資料や文献の収集と精査が継続されるため、それらに関しても、当研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 「子ども」と「障害」から考えるマーク・トウェイン2013

    • 著者名/発表者名
      久保 拓也
    • 雑誌名

      『マーク・トウェイン:研究と批評第12号』

      巻: 12 ページ: 2-8

  • [学会発表] Mark Twain: The View from Japan2013

    • 著者名/発表者名
      Kubo, Takuya
    • 学会等名
      WLA Annual Meeting
    • 発表場所
      Berkeley, CA, 米国
    • 年月日
      20131009-20131012
  • [学会発表] "Dysfunctioned” Manhood in “Impaired” Bodies: Mark Twain’s Treatment of Deviations2013

    • 著者名/発表者名
      Kubo, Takuya
    • 学会等名
      The Seventh International Conference on the State of Mark Twain Studies
    • 発表場所
      Elmira College, NY, 米国
    • 年月日
      20130801-20130803
  • [学会発表] 「子ども」と「障害」から考えるマーク・トウェイン2012

    • 著者名/発表者名
      久保 拓也
    • 学会等名
      日本マーク・トウェイン協会全国大会
    • 発表場所
      中京大学 愛知県
    • 年月日
      20121012-20121012
  • [学会発表] マーク・トウェインに見る「少年」と「障害」の諸相2012

    • 著者名/発表者名
      久保 拓也
    • 学会等名
      東海英文学会年次大会
    • 発表場所
      愛知工業大学本山キャンパス 愛知県
    • 年月日
      20120819-20120820

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公開日: 2014-07-24  

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