研究課題/領域番号 |
23520291
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大藪 加奈 金沢大学, 外国語教育研究センター, 教授 (30283146)
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研究分担者 |
杉原 利治 岐阜大学, 教育学部, 教授 (70092939) [辞退]
大藪 千穂 岐阜大学, 教育学部, 教授 (10262742)
BINTLIFF JOHN 金沢大学, 外国語教育研究センター, 教授 (80598441)
木村 純子(三上純子) 金沢大学, 外国語教育研究センター, 教授 (10209728)
佐藤 文彦 金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (30452098)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | Children's Literature / Moslem Children / Amish Children |
研究実績の概要 |
この研究の主要研究対象は、アーミッシュ社会の子どもを読者としたキリスト教系英語児童文学と、モスレムコミュニティーの子どもを読者としたイスラム系児童文学である。具体的には、アーミッシュの人々に読まれている家庭雑誌Family Life等に掲載された子供用読み物のテキスト分析および現地での受容研究、Islamic Foundationなどの児童書の出版状況・受容状況調査とテキスト分析、また背景研究として、独・仏・トルコ語のモスレム児童文学調査を行った。 研究対象作品では、宗教の違いにかかわらず、宗教を前面に出す手法は使われていず、作品の焦点は、現代のそれぞれの社会の登場人物(子どもたち)の日常生活である。読者の改宗を目的とする宗教的世界観の構築ではなく、既に宗教コミュニティーに属している読者対象の作品であることから、作中では、登場人物(=読者)をとりまく自然環境や家族生活の肯定、逸脱者の許容というような、登場人物が経験する日常をとおして、作品の宗教的世界観が構成されている。作品は読者に寄り添い、読者が安堵できる世界を提供していると言える。2者の違いとしては、アーミッシュ作品では逸脱と赦しが最もよく繰り返されるテーマで有るのに対して、モスレム作品ではモスレム登場人物の逸脱はあまり扱わていない点がある。また、モスレム作品では、神の慈悲が感じられるような自然の描写の挿絵や挿話が多く、環境的倫理観と宗教的倫理観がつながっている。 今年度は、最終年度であったので、国内外の児童文学学会で今年度までの成果、特に受容研究の成果と環境文学理論や宗教倫理論を使って読むテキスト分析の成果発表を行った。政治状況の変化、エボラ出血熱やテロ事件の影響などもあって、予定していた現地調査や発表が決まっていた国際学会への渡航を取りやめるなどの状況もあったが、概ね予定していた研究成果を得ることができた。
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