研究課題/領域番号 |
23520293
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
滝口 晴生 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40226957)
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キーワード | 偶像崇拝論争 / キリスト教史 / キリスト教神学論争史 / キリスト教美術 / ジョン・ダン / 宗教改革史 / イギリス国教会史 / 図像 |
研究概要 |
本年度は、キリスト教初期文献解読のために、イギリス、バーミンガム大学で開講されたビザンチン・ギリシア語コースに参加し、古代ギリシア語の中級程度(Level 2.5, B pass in the European Credit Transfer System)の語学力を養成した。とくに図像崇拝の議論の基本文献であるG. Ostrogorsky著Studien zur Geschichte des byzantinischen Bilderstreites (1929)には、資料が(一部ラテン語訳がある、またPatrologia Graecaを参照することも可能ではあるが)、ほぼギリシア語原文のみにて引用されており、ギリシア語の知識が必須であったからである。これによって4世紀~8世紀の文献のより原典に密着した解読が可能となり、その作業に着手した。 上記書のギリシア語部分を通読し(未だ解読できない部分も残ってはいるが)、偶像崇拝・偶像破壊論争における初期の文献の端緒的な議論の典型を跡づけ、分析整理を行っている。 論文としては、山梨大学教育人間科学部研究紀要に「偶像崇拝の記号論(2)」を執筆し、掲載された。これは「偶像崇拝の記号論(1)」の概説をうけ、キリスト教初期における図像の有り様を、カタコンベに残された図像と初期キリスト教では現在の所唯一といえる地上遺跡であるエウロ・オイローポスの私宅に残された図像を比較しながら、図像の種類、またその使用の意味を考察したものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の起源となる初期キリスト教時代に関しての文献は、ギリシア語、ラテン語、ドイツ語文献が多く、解読に予想以上の時間を要した。しかし、この時期に論争の起源があるので、入念な調査を行っている。古代を通過すれば、ほぼ英語文献となるので、進捗するものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
キリスト教初期すなわち4世紀以前の図像については前年度で終了したので、偶像崇拝論争の本題となる6~9世紀の教会会議における文献上の経緯を詳らかにする。論争に関する概略的な文献はほぼ収集済みであるが、個別の、あるいは特殊な主題についての漏れ落ちた文献や収集不可能な文献(インターネットで閲覧可能なものも増えてきているが)については国内の大学図書館等において閲覧を行いつつ研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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