研究概要 |
トマス・ハーディは『森林地の人々』(The Woodlanders, 初出1887年)の原稿を執筆するにあたり、推敲に推敲を重ねたが、その生成過程は未だに明らかにされていない。本研究の目的は、ハーディの自筆原稿内部の異同を検証することで、『森林地の人々』の創作過程を解明しようとするものである。 平成24年度は、当初の計画どおり、ハーディの自筆原稿第221葉から360葉までを解読した。ハーディの施した改変の中でとりわけ興味深いものについては、ルーマニアで開催された国際学会、The 22nd International Conference on BAS, hosted by the University of West, TimisoaraにてWhat the Manuscript Tells Us: Grace Melbury in The Woodlandersと題して発表した。またハーディの手入れには、出版社による介入が認められるが、明治期のハーディ小説の翻訳にも出版社による介入が認められる。両者の比較研究は文化的・言語的観点から意味があるため、研究成果の一部を、The 20th International Thomas Hardy Conference, Dorchester, UK にてWho's Afraid of Censors? Introducing Hardy in Japan と題して発表した。
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