研究概要 |
本年度は、研究計画に従って、18世紀イギリスにおけるアフリカ系作家と環大西洋地域における英語文学の全体像を把握するための資料調査をおこなった。それに当たって、最新かつ重要な関連文献のうち未収集のものを中心に収集をつづけていた二次資料のうち、Eve Tavor Bannet, Transatlantic Stories and the History of Reading 1720-1810: Migrant Fictions (Cambridge: Cambridge UP, 2011) および Eve Tavor Bannet and Susan Manning, eds., Transatlantic Literary Studies, 1660-1830 (Cambridge: Cambridge UP, 2012) は、本研究課題のテーマ設定と直接に深く関わることから、極めて重要な指針を提供してくれた。同書では、これまで研究者のあいだでもそれほど知られていない一次資料が数多く紹介されている。そのため、今年度の研究は、おもに同研究を参考にして、一次資料の基本的な文献調査をおこなうことに費やされた。そのため短期間ではあったが British Library に赴いての調査は必須であった。現在、これらの資料を分析・整理に取りかかりつつあり、成果のアウトプットは次年度以降の課題となった。関連した成果として、日本ジョンソン協会第44回大会(2011年5月23日)においてシンポジウム「涙と冒険のカリブ――西インド諸島と18世紀英文学の諸相」を企画し、そのなかで研究発表「波の間のセンティメント――Olaudah Equiano を通して "Inkle and Yariko" を読む」をおこなって、本研究の方向性を示した。
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