研究課題/領域番号 |
23520302
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
里内 克己 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (10215874)
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キーワード | トウェイン / 未発表原稿 / 自伝 / 19-20世紀転換期 / 作家の晩年 |
研究概要 |
本研究の一環として2011年度に発表・刊行したトウェイン晩年の未発表草稿「落伍者たちの避難所」に関する論考を、本年度では再度練り直し、2013年8月にニューヨーク州エルマイラで開催された第7回マーク・トウェイン研究国際学会において英語での口頭発表を行なった。この大会では、世界各国から集まったトウェイン研究者たちと交流し、有意義な情報交換を行なうことができた。(報告文は、2014年4月発行の学会誌『マーク・トウェイン:研究と批評』第13号に掲載。)更にその後、発表原稿を英語論文として執筆し直し、学会誌_Mark Twain Studies_に投稿した。同論文は採用され、2014年度中に刊行される最新号に掲載される予定である。 2013年度は、トウェインの未発表長編『それはどっちだったか』および原型となる短編作品「インディアンタウン」の翻訳作業に最も多くの時間を費やした。8月に海外での発表を終えてから、半年近くにわたって集中的な作業を行なうことによって、2014年3月末に訳稿は無事完成した。二作品併せて400字詰め原稿用紙にして750枚近くの分量のデータとなった。版元探しも順調に進み、彩流社から2014年度のうちに刊行できるめどもつけることができた。 本年度(2013年度)は、本研究の眼目の一つである翻訳作業が終了し、海外への研究成果の発信という課題も遂行することができた。難所を乗り越えて、充実した進展を見ることができた一年であったと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の前半は、本研究と直接の関わりを持たない研究に時間を費やしたため(東北大学で5月に開催された日本英文学会大会でのシンポジウム「21世紀世界における惑星的想像力」への講師としての参加)、本研究はその間は遅滞した。だがシンポジウムの後はまた本研究に立ち返り、当初から計画に組み込んでいたようにトウェイン晩年の未発表作品に関する論考を海外で発表し、英文での論文を執筆することができた。更に、それまでの年度では立ち遅れていた未発表長編の訳出作業を年度の後半に集中的に行なって挽回し、当初の予定通りに今年度中に作業を終了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度にあたる今年度(2014年度)は、まとめの作業として、長編『それはどっちだったか』の訳文を、版元を引き受けてくれた彩流社のご助力も得て再チェックし、年度内に刊行できるよう最大限の努力をする。 それに先立ち、6月に明治大学で開催されるディケンズ・フェローシップと日本マーク・トウェイン協会との合同学会「ディケンズとトウェイン:〈交流〉する二人の作家」におけるシンポジウムに登壇し、本研究の一環として『それはどっちだったか』に触れる発表を行う。そこでの成果を基にして、上記の翻訳本に付す解説文を8月から9月にかけて執筆する。 今年度は研究予算を図書の製作のための費用に振り向けることを予定しているが、万一それに支障が生じる場合には、別枠の研究成果公開促進費に申請することも検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度の後半は研究遂行のための翻訳作業に集中しなければならなかったため、旅費・物品費などを使用する必要および時間的余裕を持つことができなかった。 予定している研究費の使途は次の通りである。① 5月(日本英文学会)、6月(ディケンズ、トウェイン合同学会)、10月(日本アメリカ文学会)における学会出張、および東京に拠点を置く出版社との打ち合わせ作業のための交通費。②図書の作成費用。③その他、研究を遂行するうえで必要となる図書、備品などの購入。
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