トウェイン晩年の未発表作品の中で最も取り上げられることの少ない長編『それはどっちだったか』Which Was It? (1899-1906)を日本語に訳出しつつ、同時期のトウェイン作品群や別の書き手の作品と突き合わせることによってその意義を探った。その結果、この小説はこの作家の盛期と晩年を繋ぐような主題群を盛り込んでおり、無視して差し支えない作品であるどころか、トウェインの隠れた代表作と呼んでも過言ではない位置を占めることが明らかになった。また、作品が執筆された時期のアメリカ合衆国の多人種的・多民族的な様相をより深く理解するうえでも、『それはどっちだったか』が重要な作品であることも解明された。
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