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2015 年度 実績報告書

アンドリュー・マーヴェル研究―人間関係と表現技術―

研究課題

研究課題/領域番号 23520303
研究機関広島大学

研究代表者

吉中 孝志  広島大学, 文学研究科, 教授 (30230775)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2016-03-31
キーワードアンドリュー・マーヴェル / 人間関係 / バッキンガム公爵 / ヘンリー・ヴォーン / 庭
研究実績の概要

アンドリュー・マーヴェルと同時代の詩人であるヘンリー・ヴォーンとの間テクスト性に関しては、ナイジェル・スミスやポール・ハモンド等の研究者たちによって指摘されていたが、思想的な接点は未考察のままであった。本年度の研究成果として特筆に値するのは、ヴォーンの錬金術的表現を分析する過程で、マーヴェルの人間関係を調査する際、当初の仮説では想定していなかった人物が、浮上してきたことである。第二代バッキンガム公爵である。
マーヴェルとヴォーンとが個人的な人間関係を持っていたということはまだその証拠を得ていないが、少なくとも彼らの思想的なつながりの一つが、ヘルメス哲学であることは証明可能となった。マーヴェルがフェアファックス卿の所領に滞在していた際に書かれたテクストにヘルメス哲学の影響を色濃く受けた表現が見いだされるからである。特に終末論的な表現が錬金術的な表現と重ねられている部分があり、その箇所が示唆するのは、17世紀後半に産業としての「ガラス化」を試みた第二代バッキンガム公爵の存在である。彼のチャールズ2世との関係を考えると、17世紀中葉においてマーヴェルとフェアファックス卿との人間関係が、一方にバッキンガム公爵、そして後の国王という王党派、他方にクロムウェルやジョン・ミルトンのような議会派との間で微妙なバランスを保っていたことが知見として得られた。この研究成果は、17世紀英文学会の論文集に発表された。
また、マーヴェルの人間関係を探るうえで行ったヴォーン研究の副産物としてロマン派の詩人であるコウルリッジとワーズワスを結びつける思想的基盤としてヘルメス・トリスメギストスやヤコブ・ベーメのテクストが機能していることも発見した。この研究成果はイギリス・ロマン派学会の全国大会で口頭発表するとともに学術雑誌に掲載された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 花を見つめる詩人たち―ヴォーンとワーズワス―2016

    • 著者名/発表者名
      吉中 孝志
    • 雑誌名

      英語英文學研究

      巻: 60 ページ: 1-22

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 終末の錬金術―マーヴェルとヴォーン―2015

    • 著者名/発表者名
      吉中 孝志
    • 雑誌名

      『十七世紀英文学を歴史的に読む』

      巻: 該当なし ページ: 183-210

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 花を見つめる詩人たち―ヴォーンとワーズワス―2015

    • 著者名/発表者名
      吉中 孝志
    • 学会等名
      イギリス・ロマン派学会全国大会
    • 発表場所
      奈良教育大学
    • 年月日
      2015-10-17

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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