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2011 年度 実施状況報告書

コンピュータを使った『カンタベリー物語』Hg、EI写本及び刊本の言語比較

研究課題

研究課題/領域番号 23520304
研究機関広島大学

研究代表者

中尾 佳行  広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10136153)

研究分担者 地村 彰之  広島大学, 文学研究科, 教授 (00131409)
川野 徳幸  広島大学, 平和科学研究センター, 准教授 (30304463)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードGeoffrey Chaucer / The Canterbury Tales / Hengwrt写本 / Ellesmere写本 / 写本の交合 / コンコーダンス / 語彙研究 / テクスト批評
研究概要

本研究の目的は、コンピュータを利用し、『カンタベリー物語』について、2つの代表 的な写本と2つの代表的な刊本を取り上げ、4つのテクストを対応させたコンコーダンスを作成し、チョーサーの言語研究及びtextual criticismに貢献することである。写本は、Hengwrt (以下、Hg)写本とEllesmere (以下、El)写本を、そして刊本は、Hgに依拠したBlake (1980)とElに依拠したBenson (1987)を取り上げた。第17回新チョーサー学会(Siena, 2010/7/19)で、研究成果の一部(形態論)を発表した。 平成23年度は、既に作成済みの韻文テクスト2写本のコレーション・コンコーダンスに加え、散文テクスト2写本のコレーション・コンコーダンスの作成を行った。上記のコンコーダンスは、Stubbs (2000)のCD-ROM及び関連データに大きく依拠し、国際的連携の一環として行われた。テクストは電子処理されたが、2写本散文テクストの対応行数の処理と外字処理とが課題として残った。写本の対応行数を調整中である。コレーションに関する処理ソフト開発も更に改善する必要が出てきた。 2写本・2刊本の言語研究の一端は、第18回新チョーサー学会(Portland, 2012/7)において、バーミング大学、Peter Robinson教授の座長のもと、コンピュータによるデータ処理の多様性とそこから明らかになる言語特徴という題目で、発表することが決定している。 2写本・2刊本、4つのテクストの言語特徴(語彙・統語特徴)を計量的・統計的に精査し、それぞれのテクスト、写本間の関係性及び写本と刊本との関係性を明らかにすることは、オリジナル原稿が発見されていないチョーサーのテクスト研究において、第一級の言語資料を提供できると期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Hengwrt写本とEllesmere写本の散文テクストの電子化とコレーション・コンコーダンスに伴う処理で、散文テクストの対応行数の処理と、同時に外字の処理に課題が残った。 散文は韻文のように、1行で切れず、かと言って一文で捉えれば、句読点の問題も出てくる。写本のヴァーギュールに合わせて、対応行数を調整中である。コレーションに関する処理ソフト開発も更に改善する必要が出てきた。 散文に現れる特殊外字あるいは装飾文字については、写本イメージに合わせて新たに作成する必要が生じた。

今後の研究の推進方策

Oizumi (1991)とBenson (1993)の両コンコーダンス、Stubbs (2003)の電子データ、そしてBlake (1980)とBenson (1987)の刊本を参照して、複数行に跨る散文の行を切る合理的な方針を確定する予定である。また外字については、公開されているヨーロッパ言語文字から、選択的に外字として採用する等、できるだけ簡便な方法をとっていきたいと考えている。Portlandで開催される第18回新チョーサー学会において、コンピュータを活用したチョーサーの言語研究に関して発表することになっており、その場の議論を通して、現課題へのヒントを得ることを期待している。

次年度の研究費の使用計画

散分の行比較をした後の電子データのチェック及び修正、そして特殊フォントの開発、研究成果を発表するための学会出張、英国シェフィールド大学のEstelle Stubbs氏に指導助言を受けるための出張ないし連絡費に研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Textual Variations in Troilus and Criseyde and the Rise of Ambiguity2011

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Nakao
    • 雑誌名

      Tomonori Matsushita, et al. eds. From Beowulf to Caxton. Bern: Peter Lang

      巻: 7 ページ: 111-150

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Comprehensive Textual Comparison of Troilus and Criseyde2011

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Nakao and Masatsugu Matsuo
    • 雑誌名

      Tomonori Matsushita, et al. eds. From Beowulf to Caxton. Bern: Peter Lang

      巻: 7 ページ: 151-164

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「トパス卿の話」における音と意味―ロマンスの解体と再構築―2011

    • 著者名/発表者名
      中尾 佳行
    • 雑誌名

      日本英文学会第83回大会Proceedings, 21-22 May 日本英文学会

      巻: 83 ページ: 111-113

    • 査読あり
  • [学会発表] Truthfulness and Space in Chaucer: A Cognitive Linguistic Approach2011

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Nakao
    • 学会等名
      Middle and Modern English Corpus Linguistics Conference 2011 (Osaka)
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      2011年8月26日
  • [学会発表] 「トパス卿の話」における音と意味―ロマンスの解体と再構築―2011

    • 著者名/発表者名
      中尾 佳行
    • 学会等名
      日本英文学会シンポジウム」第5部門『中世ロマンスと<個>の多様性』の司会・講師
    • 発表場所
      北九州大学
    • 年月日
      2011年5月21日
  • [学会発表] 「郷士の話」における契りと絆――絆のスパイラル2011

    • 著者名/発表者名
      中尾 佳行
    • 学会等名
      公開シンポジウム「広島大学ヨーロッパ中世研究会」主催『中世ヨーロッパにおける契りと絆』
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2011年11月17日

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公開日: 2013-07-10  

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