研究課題/領域番号 |
23520305
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小野 章 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20283228)
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キーワード | 英文学 / 英語教育 / 教材 / 教科専門科目 / リーディング力 |
研究概要 |
平成24年度には,文学教材による育成が期待される英語リーディング能力が何であるかを探った。参考にしたのは,新高等学校学習指導要領と,外国語教育/第二言語教育におけるコミュニケーション能力論である。文学教材による育成が期待されるのは,次の7つの能力であると考える。 (1) 物語などを読むことを通して,登場人物の言動やその理由等を文脈に即してとらえる。(2) 物語などを読むことを通して,読む楽しさを体験する。(3) 随筆などを読むことを通して,書き手の経験や意見を,読み手自身のものと照らし合わせる。(4) 音読や暗唱を通して,文章に込められた意味が相手に伝わるように音声表現する。(5) 文学を通し,ユーモアや比喩表現について理解する。(6) 文学を通し,字義どおりの意味と暗示された意味との違いに気付く。(7) 文学を通し,内容を伝える表現そのものに着目する。 以上の(1)~(7)の能力は,もちろん文学以外の教材でも育成することが出来る。しかし,文学によってこそ効果的に育まれることが期待される。 以上の研究成果を,口頭発表(a)するとともに論文(b)にもまとめた。詳細は次の通り。(a)平成24年10月27日(土)・28日(日)に高知大学で開催された日本英文学会中国四国支部第65回大会のシンポジアムに講師として参加し,約20分間の講演(演題:「文学教材によってこそ育まれるリーディング能力って何だろう?」)を行った。(b)平成25年3月1日に広島大学外国語教育研究センターから発行された査読付き論文集『広島外国語教育研究』第16号に拙論(タイトル:文学を通して育成される英語リーディング力とは―新高等学校学習指導要領とコミュニケーション能力論を踏まえて―)が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下のように実践面・理論面において順調に研究が進展していると判断する。 初年度である平成23年度には,高等学校用英語教科書を分析することで,文学作品がどのように使用されているかの実態を,教科書本文と発問を中心に明らかにした。 平成24年度には,文学作品と英語リーディング力の関係を,コミュニケーション能力論等の知見から理論的に明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
【現在までの到達度】で触れたように,平成23・24年度には,文学が教材として使用されている現状を明らかにした上で,文学を教材として使用する可能性を理論的に探った。これらの研究を踏まえ,研究最終年度にあたる平成25年度には,本研究の最終目的である文学英語教材開発を実際に行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
「次年度使用額」の45,082円は,予定していた学会参加が1回分叶わなかったからである(体調不良)。最終年度である平成25年度には,これまで以上に学会等に活発に参加し,研究成果を問う予定であり,研究費の使用には特に問題がないものと判断する。
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