研究課題/領域番号 |
23520305
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小野 章 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20283228)
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キーワード | 英語文学 / 英語教育 / 英語教材 / 文体論 / フォーカス・オン・フォーム / 英語リーディング力 / 協同学習 |
研究概要 |
平成25年度には次の(1)と(2)の研究に取り組んだ。 (1)文体論の知見を用いた発問に学習者が取り組む際、どのような形態での取り組み(一人での取り組みVSペア/グループでの取り組み)が望ましいかを探った。 扱ったテクストはO.ヘンリー作"The Gift of the Magi"(「賢者の贈り物」)である。実験協力者は日本の大学2年生であり、発問への取り組みを、個人、ペアワーク、グループワークのそれぞれで記述してもらった。またアンケート調査も行った。結果、個人よりもペア/グループで発問に取り組む方が効果的であることがわかった。同テクストは"A Present for You"というタイトルで中学校3年生用の英語教科書にも掲載されている。中等教育での文学教材の扱いにも示唆を与える結果が得られたと考えている。本研究の成果は『中国地区英語教育学会研究紀要』(査読有)第44号に掲載されている。 (2)物語文の読解においてフォーカス・オン・フォームを実践するための発問を作成した。 扱ったテクストであるオスカーワイルド作"The Selfish Giant"は、原文が高等学校英語教科書に掲載されている。同作品に対する教科書中の発問を分析したところ、いずれも「意味内容」に関わるものであった。先行研究によると,特に文学を英語教材とする場合は,意味形式のみならず言語形式にも学習者の注意を向ける方が良いとされている。そこで本研究では、言語形式に焦点を当てたものを中心に計17の発問を作成した。本研究の成果は『広島外国語教育研究』(査読有)第17号と『教育学研究紀要』(CD-ROM版)第59巻に掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,英語教育における文学の有用性を探るべく,(1)教科書分析(2)教材本文開発(3)発問研究(4)教材作成の4点を行うことである。初年度である平成23年度には,高等学校用英語教科書を本文と発問の両面から分析し,文学的教材が十分に活かされていないことを明らかにした(上記(1)の研究)。また,教材本文として相応しい英語文学の発掘も行った(上記(2)の研究)。さらには,本研究が当初予定していた中等教育の枠を超え,高等教育における英語文学の在り方についても考察を加えることが出来た。平成24年度には,第二言語習得や学習指導要領に規定されるコミュニケーション能力と英語文学教材との関わりを探った。上記(3)と(4)の研究の基礎となる研究を行ったと考えている。これらの研究を踏まえ,平成25年度には,英語教育における文学の在り方・扱い方を,教材本文,発問,教授法の多方面から探った。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度~25年度の3年間で,予定していた研究はほぼ完了している。ただ,英語文学の教授法に関する研究が不足していると自覚している(これは,本研究の申請時には想定してなかった研究テーマであるが)。これまでに行ってきた教材開発や発問研究に加え,延長期間である平成26年には英語文学の教え方についての研究も深めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の発表を予定していた学会への参加が取り止めになったため。 香川大学で開催予定の中国四国英文学会にて研究成果を発表する予定である。
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