平成26年度には、研究の実績を論文「文学テクストの原文とそのリトールド版の比較に基づいたフォーカス・オン・フォーム」『英語英文學研究』第59巻 pp.35-51に発表した(出版は平成27年3月)。同論文では、次のふたつの研究課題を設定した。 研究課題1:Oscar Wildeの短編“The Happy Prince”のリトールド版が、その原文の言語形式の焦点化に寄与するケースはどれくらいあるか。研究課題2:リトールド版が原文の言語形式の焦点化に寄与したとして、その焦点化は原文の読みにどのように影響するのか。 これらふたつの課題に取り組む中で、次の2点が教育的示唆として得られた。 (1)第二言語習得におけるインプット段階を考慮して学習者にとって「理解可能な」英語文学の原文を教材として使用した場合、学習者自らによってはF on Fが十分になされないことがある。 (2)(1)の問題への対処法として、(1)で使用した原文と、それよりもさらに平易な英語で書き換えられたテクストを学習者に比較させることが考えられる。 以上が、平成26年度の研究実績概要である。
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