本研究は、アメリカン・ルネサンスと呼ばれる19世紀中葉頃に活躍した作家たちの諸作品における旅の表象や実態を分析し、彼らの旅行記をアメリカ旅行文学の系譜に位置づけるものである。成果としては、学会発表や論文等で彼らの旅行記に注目を集めることができたこと、とりわけ、これまで作家ホーソーンの妻としてのみ注目されていたソファイア・ピーボディ・ホーソーンを旅行記作家として評価し、19世紀アメリカ文学キャノンの空間的・ジェンダー的・ジャンル的広がりに貢献できたことであろう。またマーシャル著『ピーボディ姉妹』翻訳刊行などによって同時代の女性たちの幅広い越境的活躍を紹介することができたことも大きな成果である。
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