• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

イギリス・ロマン主義文学におけるダンテの意義とコスモポリタニズム

研究課題

研究課題/領域番号 23520307
研究機関福岡教育大学

研究代表者

後藤 美映  福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20243850)

キーワード英文学
研究概要

前年度までの研究において、イギリス・ロマン派の詩人たちは、ダンテの『神曲』の詩的イメージにおける視覚的直截性や、ミルトンの叙事詩と通底する抒情的崇高に、イギリスの文学的遺産を揺るがす革新性を見い出したことを明らかにしてきた。
今年度の研究においては、ダンテの革新性についてさらに論を進め、イギリスにおける19世紀初頭のダンテの受容と軌を一にして、ロマン派の詩人たちが新しい「ヨーロッパ」文学の創出を唱えたことに着目し、ダンテを通して、イギリス・ロマン派の詩人たちが希求した新しい「ヨーロッパ」文学像の意義と革新性を明らかにした。
特にイギリス・ロマン派第二世代の詩人たちは、ダンテの『神曲』に顕著である、感情を吐露する表現やイメージに詩人の主体性の優位を見い出し、そこに詩の近代性を認識した。そして、感情という個や特殊性に属する詩的ヴィジョンが、普遍性をも獲得しているというダンテの両義的な詩的特徴に、個と全体との有機的調和を見出した。その調和は、当時の政治的文脈においては、ヨーロッパ諸国間の独立性と統一性とを両立させるための新しい「ヨーロッパ」像を呈示した。さらに、ダンテの詩的調和は、一人の詩人の詩的ヴィジョンが国境を越えてヨーロッパのヴィジョンとして流動し、知の循環を生み出すというダイナミズムと、新しい「ヨーロッパ」文学像を内包していた。すなわち、ダンテの『神曲』の受容は、イギリス・ロマン派第二世代の詩人たちにとって、偏狭なナショナリズムに異を唱えるための、国家の枠を超えたコスモポリタン的知の循環と革新性をもたらす契機を担っていたことを明らかにした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] The Romantic Reception of Dante and the Configuration of the Idea of Europe2014

    • 著者名/発表者名
      Mie GOTOH
    • 学会等名
      An International Conference of Encountering Malta II, British Writers and the Mediterranean 1760-1840: Literature, Landscape, Politics
    • 発表場所
      Republic of Malta
    • 年月日
      20140124-20140126

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi