研究課題/領域番号 |
23520310
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松田 雅子 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (90249665)
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研究分担者 |
中島 恵子 大阪成蹊大学, 経営情報学部, 教授 (20188949)
西村 美保 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (60284452)
ルール・ドーン ミシェル 長崎大学, 学内共同利用施設等, 講師 (20346943)
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キーワード | カナダ文学 / マーガレット・アトウッド / トロント大学 |
研究概要 |
4月から8月にかけて、9月の作家インタビューに向けて、作品の精読と分析を行った。中島は短編小説のメタフィクション性について考察し、西村は詩集『ほんとうの物語』、松田は『またの名をグレイス』、ルールはアトウッドの児童文学を読み進めた。7月のカナダ文学会の研究大会では、アトウッドのシンポジウムが行なわれ、中島と松田が参加した。 9月にトロント大学を訪問し、資料収集、カナダ文学者のインタビュー及び作家自身へのインタビューを行った。多忙なアトウッドに対し、1時間のインタビューが可能になったので、4人がそれぞれの専門分野について、15分ずつ質問を行った。短い時間ではあったが、凝縮して質問ができたので、成果を上げることができた。また、トロント大学のジョン・オコーナー教授、ニック・マウント教授、メルバ・カディーキーン教授、ロバート・マックギル教授にインタビューを行い、カナダ文学におけるアトウッドの役割について情報を得ることができた。 また、アトウッド・ペーパーが保管されている、トーマス・フィッシャー図書館で、資料を収集した。メディアライブラリーでは、『またの名をグレイス』のテレビドラマや、アトウッドについてのドキュメンタリー映画を視聴することができた。アトウッドの作品ではトロントが舞台になっているので、そのひとつであるロイヤルオンタリオ博物館などを見学した。 10月から3月までは、収集した資料を基に、論文執筆に取り掛かった。松田は日本英文学会九州支部大会での発表および、『カナダ文学研究』第20号に「『またの名をグレイス』を読む」を掲載し、中島は「マーガレット・アトウッドの語りの技法」を『カナダ文学研究』に掲載した。その他、日本カナダ文学会研究大会および日本英文学会関西支部大会で発表した。西村はイギリスとカナダの女性使用人についての比較考察を行い、ルールはアドウッドの児童文学を分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カナダ最大の文学者であるマーガレット・アトウッドについて、4人の研究者が自己の専門分野と関心に従って、長編小説(松田)、短編小説(中島)、詩作品(西村)、時代思潮(ルール)という区分で研究を進めている。本年9月、トロントにおけるアトウッドへのインタビュー及び、カナダ文学研究者との意見交換はきわめてスムーズに進み、順調な滑り出しであった。長編小説と短編小説については、学会発表を中島が2回、松田が1回、行った。また、論文の発表についても、中島は「マーガレット・アトウッドの語りの技法―メタフィクションとしての短編小説」松田は「『またの名をグレイス』を読むー植民地の抑圧から希望を求めて」というタイトルで、『カナダ文学研究』第20号に投稿し、査読を受け掲載された。松田は21世紀に入ってからの作品である『オリクスとクレイク』についても論文執筆を進め、ノースロップ・フライとの関連などを調査し、来年度の研究書出版に向けて準備している。 西村は『ほんとうの物語』を中心に、詩作品の分析を進めている。また、従来から関心を持っていた女性使用人の実態について、カナダとイギリスの比較を行っている。近い将来に論文として結実すると思われる。ルールは、フェミニズムや1970年代のカナダ文学興隆期の、カナダにおける時代思潮を調査する予定であるが、アトウッドの児童文学について興味を持ち始めた。これについても、近いうちに論文の出版が待たれるところである。
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今後の研究の推進方策 |
松田は長編小説を読み進め、アトウッドの作品の中核となる代表的な小説についての論集をまとめ、出版する予定である。6月のカナダ文学研究大会では、「『オリクスとクレイク』における遺伝子操作の問題」というタイトルで、発表する予定である。 中島は短編小説のメタフィクションの技法について、さらに研究を進め、他の文学者との比較検討を行う。西村は、初期の詩作品の批評を行う。また、『またの名をグレイス』におけるカナダの女性使用人について、イギリスと比較し、論文をまとめる。 ルールはアトウッドの児童文学作品について、また、1970年代ごろのカナダにおける時代思潮について、論文を上梓する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者は、アトウッドの長編小説の中で、中核となる代表作についての論集をまとめ、出版する予定である。そのために研究費を使用する予定である。その他、書籍代、文具代などを使用する。
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