本研究はイギリス文学がイギリス国民意識の形成にいかに寄与したかという認識について多面的に分析し、その影響力の本質を明らかにすることを目的とした。具体的には(1)文学的主題と社会変革との関連が顕著であるロマン主義時代文学と国家主義台頭との関連、(2)19世紀イギリス文学と宗教的懐疑の関係、(3)20世紀イギリス文学における宗教的主題の揺れ、またイギリス社会思想におけるコモンセンスの性質を総合的に分析し、ヨーロッパ近代社会においても特色あるイギリス国民意識の構築的性質とイギリス文学における複合的特質とその主題の方向性を検証した。
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